2011年09月03日 15:26

 「粉(こな)」という本があります。
 「粉体」の研究をライフワークとされている三輪茂雄(同志社大学名誉教授)という方が書かれた本です。(「粉体」とは、気体・液体・固体に対する用語。)
konahon.jpg

ふーんと感じた箇所を抜粋します。

 粉と粒の差(上掲書9p)
 難しい定義や規則があるわけではないが、肉眼で粒々が見えれば粒、粒々が見えず、正体がよくわからない、ボヤツとノッペリしているのを粉だという。
 粉とはもう少し正確にいえば、粒を見分ける目の視力の限界、すなわち、目の解像力は大体10分の1mmだ。このあたりが、日常語の粒と粉を使い分ける境目であろう。

 粉と粒には明確な定義はないようです。
 虫眼鏡や顕微鏡を使えば、更に細かい粒が見分けられるということになり、現代の粉の科学は更に微細な世界に踏み込んでいる‥、とこの本の記述は続きます。
 一般的には、粒が見えれば「粒」、見分けられなければ「粉」という感じで、その境目は大体0.1mm位ということのようです。
 次の、記述がおもしろい、と思いました。


 なぜ粉にするのか(上掲書11p)
 なぜ細かい粉なのか、第一の理由は細かくなるほど、固体の表面積が増えることである。
このことを理解するには、下図のような模型がわかりやすい。図のように一辺1cmの立方体を、次々に一辺が1/2の立方体に分割してゆくと、表面積は分割ごとに倍増してゆく。
kona

 一辺1cmの立方体の表面積は6平方cm、これを各辺1/4cmに分割すると表面積は4倍の24平方cm、これを繰り返し各辺1ミクロン(10000分の1cm) に分割すると表面積は一万倍の6平方mに、さらに10万分の1cm=0.1ミクロンになれば60平方mになり、狭いながら分譲住宅ができる広さになる。さらに21世紀の粉は1ナノmというからすごい。(36畳敷の面積になる) 。ひとつまみの米粒でも細かくすればものすごい表面積をもち、空気に触れると爆発することもある。

 A物質とB物質をあわせて化合等の処理をしたいとき、それらを細かくすれば、表面積が増加し、相手の物質と接する面が大きくなり、接することによる効果(変化)が大きくなる、ということだと理解できます。
 細かく挽かれた蕎麦粉は、表面積が大きいので水と良く馴染む(※)ので、効果的に麺線にしていけますが、粗挽き粉はそうでないので困難を伴います。(※「馴染む」という言葉が定性的ですが‥。)
 また、水回しの心がけとして「粉の一粒と水の一粒をあわせるように‥」と言われますが、これはつまり「水を分割(するように)して、粉に対する表面積を大きくする」ということだと言えます。
 水回しの技術には直接関係ないかもしれませんが、理屈として知った上で作業をすれば、多少は違ってくるかもしれません。…違わないかなぁ。

 余談ですが、
(上掲書10p)ついでに日常語の粉と粒の区別にこだわらず、なんでもバラバラの状態、たくさんの粒の集りを「粉」、専門用語では「粉体」と呼ぶことにすれば、大変便利なことがある。扱う物が、石であろうが、食品であろうが、みんな粉、扱い方は共通しているから、一方の技術で他方の技術を考えることができる。これをテクノロジー・トランスファー(技術移転)という。日常語では粉といえぼ細かいという感じがあるが、本書では粒の大きさには無関係に"粉" と呼ぶ。そう考えるといたるところに粉が見えてくる。思いがけないものにも共通性を見出して、アイディアが湧く。粉の発見は人間の知恵の発見でもある。

 ということだそうで、「粉体工学」なるものが、非常に多くの場面で適用されているようです。逆に、この粉体工学の観点から、水回しを見ると色々なことが見えてくるように思いますが、いろいろと調べてみても、ズバリというのはなかなかありません。粉体工学専門の大学教授の方がそば打ちにハマッてくれれば良いのですがねぇ。


コメント

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  2. 管理人 | URL | G5Zeud3U

    上記コメントに対する返信

    差し支えありません。
    ただし、前後の文章は冒頭の書籍からの引用ですので、念のため。

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