切りにおける「体の構え」

2011年02月11日 16:12

 切りの際の構え方についてですが、まず右45度に体を開きなさい、と最初の頃に教えられました。
 でも、本当にそうかなぁ、と思います。
 全くの初めての人に、切り方を容易に体得させるために、「切り板と体の位置関係」「足の位置」「足の開き」「左手の押さえ方」「包丁の持ち方」などなどを、ひとつの決まりごととして教えるのは、それなりに解かりやすいので、それはそれで良いと思いますが、本来はそうではないと思うのですね。

 なにごともそうだと思うのですが、まず目的があってそのためにどうするか、という順序になるはずです。また、人それぞれに体格が違うし、手足の長さや付き方が違いますから、一律45°ということにはならないはずです。(実体としては、斜め右方向を向きなさい、ということだとは思いますが。)

 切りの作業の際の体の構え方を考えるに際して、ゴルフのスイングが参考になります。
 ゴルフでは、まずクラブヘッドのフェイスをボールの後の、打ち出す方向と直角になる位置に置きます。
 次に、おもむろに手の握り方を決め、肩の位置を決め、体と脚の形を決め、概ね最後に足の位置を決定します。
 だいたいこんな流れです。

 ところが、そば打ちでは、まず最初に、体の開き方や足の位置についてあれこれ指導されることが多いようでして、順序が逆のように思えます。(右足の親指の位置を麺帯の切り口付近の直下になるようにする、なんてのもあります。)

 本来は、次のような順序になるのではないかと思うのですね。
 まず、切り板と平行においた麺帯に小間板を置き、包丁を小間板の枕にピッタリと合わせる。
 そして、包丁の線と腕の線を合わせ、ついで、「腕をスムースに、かつ腕がブレずに動かせるような体の構え」を決め、最後にその体を普通に支えるように自然に足を開く。
 この「体の構え」というのは、単に体を45°に開くということではなく「①腕をスムースに、かつ②腕がブレずに動かせるような状態にすること」だと思います。
 では、その状態にするにはどうしたらよいか。

「①腕をスムースに動かせる」とは、「スムースに振れる」ということですが、その最適な方向を知るには次のようにすれば良いと思います。

 自然に立って、腕を脱力し、行進の時のように、腕を前後に振ります。腕を前後に振るには肩に力を加えなければなりませんが、途中その力を抜いてやると、前後に振れていた腕は徐々に斜めになります。右手の場合で、少し詳しく言うと、右手が体の前にきて、右体側を通り、右後へ抜ける、という軌跡になります。これが、腕の本来の自然な動きでして、腕のスムースな動きとは、このような斜め方向の軌跡の動きなのだと思います。
 くどいですが、この角度は、人によって異なります。
 したがって、体の構えを作る際に、最初に包丁と腕の線を決めたら、次に、上のように腕の振りが自分が動かし易い方向になるように、体の方向を決めれば良い、ということになります。大事なのは、上に書いた一連の順序であって体の角度は比較的適当で良いと思います。

「②腕がブレずに動かせる」構えとは、腕(二の腕~肘~上腕)を体に接するように位置させる、ということです。体から腕が離れると振りの軌道が一定しなくなりますから、離れないように、つまり脇を締めよ、ということです。
 脇を締める、というよりも、腕が振れないように体(あなたのビール腹の右45°付近)を擦(こす)るように動かす、と言ったほう直截で分かり良いかもしれません。


 さて、切りの作業の目的は、一定幅の麺を安定的に切り出す、ということだと思いますが、そのためには、大きく体全体の「構え」で考えることが大切です。手先での作業では切りの目的を達成できません。(「小手先」という言葉はまさにこのことです。)
 そして、この構えをきちんと作るには、切りの作業現場にあたる包丁の位置から逆算して考えることが肝要と思います。


 【追記;構えの最後は「左足の位置決め」】
 上で述べた(自分にとって最適な)立ち位置を決めたならば、次は重心を動かさないようにして左足を5cmほど(=ひとコマ分)左へずらします。(自動的に、右足側に重心が掛かったような状態になります。)
 切りの作業では、切り進むにつれて体を左に動かさねばなりませんから、このようにして、体の移動がひとコマ分スムースに行くように予め準備しておけば良いと思います。

 包丁で一回切ったら、その分(約1.5ミリ)包丁を倒しますが、同時にそれと同じ分量を、左腰前部と切り板の縁が接した部分の擦れを感じながら、体を左に移動します。そしてこれをこれを繰り返していけば、左足側に体重が掛かる頃にひとコマ分の作業が終わります。(ちょっと理屈っぽいですが‥。)




 振り返ると、これまでもえらそうなことを書き続けていますが、それに見合った技術を身に付けている訳ではありません。ある種の理屈を見出したいという欲求から来ているものでして、読まれる方は、あくまでご参考に。


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