目指せ四段(12) dry swim (畳の上の水練)

2010年10月19日 22:42

 私は、海上自衛隊の哨戒機に乗って仕事をしていました。
 さて、突然ですが、飛行機を飛ばすための基礎技術の一つに航法(navigation)があります。
 航空機の航法とは、A地点からB地点に移動するため、空中に在る飛行機の現在位置を様々な手段で測定し、風などの外力を測定し、B地点への針路を決定し、到着予定時刻を計出し‥、というようなことの連続作業です。
 それも、軍(国)の航空機ですから、正確を要しますので精密さが求められます。

 私の若い頃の飛行機は航法機器も十分でなく、洋上はるか飛んで行って、哨戒任務に就くと、高度を頻繁に変え、針路を頻繁に変えますので、自機位置の把握がまず大変でした。これが夜間になると、その困難性は倍加します。更には悪天下の低空飛行にでもなれば、飛行機の乱高下が加わって反吐を飲み込みながらの修羅場になります。

P-2J (今は全て退役し、P-3Cと交代しています。)
          (P-2J ;今は全て退役し、P-3Cと交代しています。)

 現在では、これらのことをほとんど機械(コンピュータ)がやってくれますが、機械が壊れたときのため、及び航法の基本を体得するために、人力を主とした航法訓練が、(今は少なくなりましたが)必ず行われています。

 航法訓練は、実機を使って実際に飛ぶのが一番ですが、いきなりそうすると、なにかと無駄が大きいので、標題のような「dry swim」と称して、地上において紙の上での訓練が行われます。こうして地上で、少なくとも手順だけでもしっかり体得しておけば、環境の良くない飛行機の上でもある程度のことが出来るわけです。これは、周到な準備が大切である、ということでもあります。

硫黄島付近の航空図
 (硫黄島付近の)航空図(航法では、これを使用するか、「白図」という緯度・経度線のみを書き込んだ図を使用する。現在は、ほとんどコンピュータディスプレイの上で行われます。)


 さて、前置きが大変長くなりましたが、蕎麦打ちにおける「dry swim」について。
 技術を向上させる要素は、いくつかありますが、実施の回数という要素が大変大きいというのは論を待たないでしょう。ところが、蕎麦打ちの場合、悲しいかな、週一以下のペースで、それも一発勝負でしか実施できません。(週一は、私の最近のペースでして、これでも多い方かもしれません。)

 これを、ゴルフの場合と比べると、その回数には大きな差があります。週一ゴルフでも、その都度、100回近くの実際の打撃をやります。さらには、練習場で汗びっしょりになる位の打撃練習をやったりしています。なかには、駅のホームで傘を使ったスイング練習までやる人もいるくらいです。こうして、ゴルフの場合の訓練機会は比較的大きいといって良いでしょう。
 
 こうしてみると、蕎麦打ちも、実技以外の練習をもっとする必要があるのではないでしょうか。特に、しっかりした技術が身につくまでの初期の段階では非常に重要ではないかと思います。
 
 今回、四段を目指すことになって、「dry swim」という言葉を急に思い出しました。聞けば、仲間うちでも色々とやっておられる方がいるようです。
 
 最近は、1日1回は包丁を持つようにしています。
 包丁の柄を握る手の内の感触、小間板の枕との包丁の腹の接し方、その時の親指の感触、切り進むときの眼の付け所、体の向き、姿勢の作りかた、脚との関係、‥やることは沢山ありますし、蕎麦生地が無くとも十分に出来ることです。
 
PICT0643.jpg
  


 そういえば、当時の訓練教官から耳にタコが出来るほどいわれた言葉があります。
 「地上で出来る準備は徹底してやっておけ。いいか。」
 
 ‥そして、実機での飛行訓練で、いつも準備不足を反省していました。

 
 四段受験は、大変良い機会です。
 受験日まで、毎日の「dry swim」を続けようと思っています。
 


コメント

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  2. たか陶 | URL | -

     ある方からご指摘を受けました。
     「『畳の上の水練』の本来の意味は、辞書によると『理屈や方法を知っているだけでは、実際には役に立たないことのたとえ。』である」と。
     なるほど、確かにそうでした。
     用法を誤りました。

     ご指摘のとおり「入水前に水泳は始まっている」というのが適当ですね。
     それでも、お伝えしたいメッセージは受け止めていただきました。
     重ね重ね、ありがとうございました。

     皆様には、この場で、訂正致します。
     「dry swim -事前準備の大切さ-」

     それにしても、我ながら「切り」が良くなったように思います。若干ですけれども。
     訓練ですね、やはり。

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