打ち台の南側で南に向かって打つ

2016年07月21日 11:21

 一般に、延しの作業は打ち台の北側のエリアを使って、北側に向けて行われることが多く、これが標準とされているようですが(下図左)、 私は以下に記す理由で、南側に向けて、また南側のエリアを使って延すのが良いと考え、そのような打ち方をしています(下図右)。
 皆さんにもこれを推奨します。

nannbokuhikaku.jpg

 南側に向かって、また南側エリアを使ったやり方が良いと考えるのは、次のような理由からです。絶対的なものではありませんが、比較するとかなり良いのではないかと思っています。
 通常の方法と比較をしながら整理してみます。

1 作業が容易である
■南側作業は、基本的に身体の近くでの作業になりますから、「作業は常に目の下で」という古来の教えに沿っています。効果的な加圧(体重の活用)ができます。(下右図)
■北側作業では、作業箇所が生地の北側縁辺部に近づくに従い、身体から遠くでの作業になりますので、その分だけ作業がしにくくなります。また、生地を手前で巻いていますから、延し棒との競合が出て、麺棒操作の自由度が小さくなり、操作に制約が生じます。(下左図)

minami_yosi.jpg

2 生地にに掛るストレス(張力)を小さくできる
■南側作業は、南に向かって引く動作を主にすることになります。一方、北に向かって押す動作というのは、もともと我々に馴染んだやり方なので、結果として無理なく「押し+引き」という動作を行いやすいことになります。このため、生地に対して一方向へのストレスが加わることを防ぐことになります。(下右図)
■北側作業では、押す延し方が主になりがちで、生地を引っ張ることになり易いという弊害が出ます。熟達者は押し引きを行えますが、特に初級者では(良く指導を受けているように、)意識しないと引きの動作は行いにくいものです。(下左図)

osi_hiki.jpg

3 厚みの検査が容易である
■南側作業は、作業中の生地の縁辺部が手前にありますから、目視による検査が極めて容易です。厚みの検査には種々の方法がありますが、目で見ることが簡単かつ確実です。これは南側で作業をすることの非常に大きな利点です。(下右写真;中央付近の厚みをもう少し取る必要があることが一目瞭然。)
■北側作業では、縁辺部の厚さを直接目視することができませんから、①手で撫でる②指でつまんで持ち上げて触る③更にそれを目で見る、等々の対応が必要です。①は精度が悪く、②③は手間が増え、なおかつ破れなどのリスクがあります。(下左写真;プロは影を見ると言われていますが、一般的には①②又は③の方法になります。)

atumi_hikaku.jpg

4 全体的な厚みの均一化が容易である(1と関連)
■南側作業では、本延しの際など、巻棒で巻き取った部分を出来るだけ遠くの北側に置けば、作業エリアを広く取れるので、厚みの均一化が効果的に行えます。具体的には、①中央部の東西縁辺部の厚み取り作業に引き続き②南側縁辺部の厚み取り作業を切れ目なく行うことができます。また①と②を同時に勘案しながら、大きく作業が出来ます。(下図)

kiremenasi.jpg


■北側作業では、作業エリアを北側に設定する必要上、生地を大きく広げられず、狭い範囲で厚みの調整を行わざるを得ませんから、局所最適化(局所だけが良くなる)に陥り易くなります。また、「目の下での作業」を行う必要上、2回に分けた操作が発生します。(下図)

bunnkatu.jpg


 以上、言葉足らずがありますが、まとめれば「広く全体的に延せて、厚みを一瞬に目で確認できて、目の下で作業が出来る」ということでしょうか。
 私は、もっぱらこのやり方で延しを行っています。一部に正統なやり方ではないというご批判もありますが、南北をひっくり返して眺めれば、その正統なやり方と同じことですし、しかも上のような、明らかなメリットがある訳ですから、絶対にお勧めと思います。
一度お試しください。


コメント

  1. おっさん | URL | 336rmG96

    のしむらが少なくなりました!

    いつも拝見致しております。
    ここまで理論的に説明出来なかったのですが、今後はこういう説明に変えます。
    私も2年前に3段位を受験するまで、セオリー通りの北側のしをしていましたが、これだと気持ちは手前をのしているつもりでも、実際は麺戦の端っこを何度ものしていただけで、切り始めが細く真ん中が盛り上がる(のしむら状態)でした。
    試験直前に南側方法を採用してからは、のしむらが少なくなりました。
    これからも色々参考にさせていただきます。

  2. 管理人 | URL | G5Zeud3U

    ご賛同ありがとうございます

     私の所属する蕎麦打ち俱楽部で、私はずっと前からこのやり方を続けているのですが、他の方で実際にやる方はほとんどいないようです。
     若い層が手を出そうとする場合があっても、高段者が否定的で、ストップをかけるような雰囲気があるような感じです。理屈的には、ほぼ完璧に近いのではないかと思っているのですが、ずっと疑問に思っています。
     伝統には反しないと思うのですがねぇ。

  3. なか@船橋 | URL | ILIMsvHM

    南側延し

    自分が知っている高段者は、手前側に伸すのを嫌う審査員が多いので、あまりやらない方が良いと言いますが、全麺協の審査基準はどうなんでしょうか?

    個人的には、認定会の時も仕上げは手前側にして延しムラをなくすようにしています。その方が個人的には作業がしやすいから。

  4. 管理人 | URL | G5Zeud3U

    南側延し

     この件についての全麺協の審査基準は知りません。
     たしか、蕎麦の打ち方は問わない、といった表現があったような気がしますが、実際は微妙な問題だと思います。

     いろいろ言う方がおりますが、いろいろな考えがあって良いと思います。
     私は、合理性を追求したいと思っています。

  5. 彦十 | URL | 2fLEWXmk

    作業が楽になりました。

    目から鱗が落ちるとはこのことですね。

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