【補足】捏ね・丸出し- 力の実測

2014年04月25日 12:35

 前回の記事に補足をします。
 「体重を利用して力を加える」というのは、体の重心位置をいかに対象物に近づけるという問題に他なりません。
 今回の記事は、内容的には前回と同じで、我ながら少しくどいかなぁとは思いましたが、直感的にイメージにしやすくするためにちょっと整理し直してみました。

 まず、「姿勢と力の掛り方」についての基本的な捉え方についてです。
 下図の左の図のように、a点とb点で支えられている棒に対して、1:2の位置(c)にGの力が加えられているとします。
 すると、右図のように棒の両端にはFaとFbという力が加わりますが、FaはFbの2倍という関係、G=Fa+Fbという関係になります。
補足1

 これを単純化して言うと、「a点に加わる力はGが近くなるほど比例的に大きくなる」ということです。



 さて、上の関係を、捏ねや丸出しの姿勢に当てはめてみると以下のようになります。棒が傾いていますが、考え方は上の図と同じです。(番号は前回の記事に合わせました。)

 下の図は、好ましくない例です。
補足2

 足が大きく後方に引かれた姿勢です。
 見た目には大変大きな力が働いているようですが、右の模式図を見る通り、b点へも力が配分されますから、効果的ではありません。


 下の図は、好ましい例です。
補足3

 重心がa点に寄せられており、a点に大きな力が発生しています。
 ここで大事なことは、c点(Gの位置)とa点の関係であって、脚を伸ばしているか、とか、足を左右に開いてしっかり構えているか、とかいうことではありません。これらは、その人がやり易いようにすればよいことです。


 下の図は、非常に悪い例です。
補足4
 
 姿勢は、腰を後方に引くなどして、体が前方に倒れないようにしています。体は曲げられていますが、どっしりと立っている訳です。
 右の模式図に表しているように、棒は倒れずに自分自身で立っていることと同じ状況なのです。
 これでは、仮にa点からにょきっと手が出ていても、台の上に(体重を利用して)力を及ぼすことはできません。前回の記事で述べたように、筋肉を使わなければならない訳です。


 更に下の図は、実際にはありえない状況ですが、Gをa点に重ねてしまって、全体重をa点にかけている様子です。
補足5

 右の模式図のように、b点はぶらぶらの状態です。
 最大の力が発揮されていますが、連続的な流れるような作業には向きません。


 以上が、体重利用に関する一つの理屈ですが、これを感覚的に表現すると「体を前方に預ける感覚で体を使う」ということになると思います。
 ただし、全工程において常に最大の力になるように姿勢をつくるという訳には行きません。ある時は大きい力が、ある時は小さく軽い力が、上手に発揮されなければなりません。これは、言葉を変えれば、「重心位置の円滑な管制」という新たな問題になります。


 さて、つぎの写真は、先場所(25年大相撲春場所:大阪府立体育館)での、遠藤・大砂嵐の一番です。
 両者が組み合った姿勢の(総合的な)重心位置は、両者の真ん中付近のどこかにあるのですが、遠藤はこの重心位置を土俵際でうまく管制(コントロール)し、わずかに自分の下側に移動させて最後の勝利を得たのでした。
 「重心位置の管制」の極地ですね。



遠藤a
 遠藤は、左足で支えながら、体をひねって両者の重心位置を左下に向けて移動させています。
 最終的に重心位置の移動方向(ベクトル)はどちらに向いているのか?
 ここが勝負の分かれ目です。

遠藤b
 重心位置の移動方向は、大砂嵐側から遠藤の腰側に向かっていたために、遠藤の体は後方に倒れます。しかし、それでもわずかながら下向きであったために、遠藤の体はかろうじて大砂嵐の上になりました。

 あっという間の動きでしたが、遠藤が持つ感覚の鋭さを示す良い相撲した。



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