茹で時間-達磨蕎麦会でのことを元にして

2013年12月28日 22:02

 今年も達磨の蕎麦会(12月18日)に行って参りました。
 様子は、昨年、一昨年とほぼ同じでした。蕎麦打ちのやり方だけでなく会の運営要領も完全にパターンになっているということのようでした。NHKの番組(プロフェッショナル)でもパターンに関すること言っておられましたね。
 ということで、今回は、昨年、一昨年と少し違った(と感じた)点を書き記します。
 まず、「茹で」についてです。
 茹での作業は、二人のお弟子さんが担当していました。
 作業の流れは以下のように行われています。毎回、一つ一つの動作が全く同じです。

① フロアから知らされる数に応じで、蕎麦を準備する。
  分量は、目安として110g/1人前とのことでした。
     茹で1
    
② ざっくりほぐしながら投入。同時にストップウオッチを発動。
     茹で2

③ 投入直後、菜箸で軽くほぐす。
  念の爲のくっつき防止及び湯温の均一化の爲と思います。
     茹で3

④ 茹で時間は、34秒(※下注)。
  ストップウオッチの音にぴったり合わせて掬い上げる。
  1秒の狂いも許さない、という風に実施されております。「34秒」という数次の半端さがそのことを物語っています。(やや個人的・趣味的な考えもあるかもしれません。)
     茹で4

⑤ 手の平を軽く擦り合わせるようにして、洗い。
     茹で5

⑥ 振りざるで、水分を良く切って、盛り付けへ。
     
 以上が、作業の流れです。
 34秒という数字と、完全にパターン化された作業振りが印象的でした。

 下の写真はお一人様の膳。毎年同じです。
     一人前IMG_0482

 上の膳に下の写真のざるが三枚で一人前です。
 麺はやや細めです。
     ざる_0487
    

(※)茹で時間について
 昨年、一昨年の蕎麦会でも茹で時間について同じ質問をしたのですが、その際は「太さ1.3㎜で、時間40秒」という答えでした。実際の麺線の幅は、見た感じ、ややばらつきがあるものの平均1.3㎜~1.4㎜という感じでした。そして、その時も、茹での時間管制はストップウオッチを使い、投入から掬い上げまできっかり40秒が厳守されていました
 今回は、同じ質問をすると「34秒」という答えが帰ってきました。そして、きっかり34秒が厳守されておりました。麺の太さは、昨年一昨年に比べると、見た感じ1.2~1.3㎜とやや細いようでしたから、その分時間が短くなったということでしょうか。

 茹で時間というのは非常に重要ですから、当日の時間を何秒にするかについては、最終的に高橋氏が判断して決定するものと思っていましたが、聞いてみると、この2人が決めるのだそうです
 その答えを聞いて大変意外に思いましたが、考えてみると、全員が高橋氏のもとで修業をし、認められてプロになった職人ですから、見た目は大変お若いですが、釡前として完全に任されている訳です。(失礼しました。)

 茹でについては、 「茹での時間(4)」で書いていますように、茹での時間は麺線の断面積に正比例する訳ですから、太さによって加減しなりません。
 下の表は、その時に掲げたものですが、仮定に基づいていますので、なんとなく傾向が分かるという程度のものです。
    茹で時間の推定

 茹でには、それぞれの好みという要素が入りますから、最適時間を一律にきめるということは出来ません。
 しかし、少なくとも長く茹でるのは、一般的に良くないように思われます。
 
「茹での時間(最適はアルデンテを超えた瞬間?)」で書きましたが、長く茹でると明らかに不味くなります。 その理由は、推定ですが、デンプンは糊化して固定化する一方、美味さのもとになる成分(甘皮付近や子葉部分のたんぱく成分)は溶け出しているのではないでしょうか。従って、茹で時間は、デンプンが適宜糊化し、かつ、たんぱく成分等が溶け出てしまう以前でなければならない、ということでして、その実際の時間というのは思っているよりも短い時間なのではないかと思います。
 今回の蕎麦会の34秒、前回前々回の40秒が大いにそのヒントになるのではないでしょうか。
 
 データは、この2点しかありませんので、信頼性は低いのですが、これをもとに計算をしてみると次のようになります。
    麺線の太さと茹で時間の関係

 この表では、1.2㎜の麺の茹での最適値(もちろんこれは好みです)が34秒であるとして、他は、断面積に比例するものとして計算しています。
 すると、なんと、1.3mmの計算値が39.9秒ということになって、実際の(前回、前々回の)茹で時間である40秒と、良く一致しています。 もちろん、1.2mmや1.3㎜という数値は、実際に麺線を実測した結果ではないのですが、ここは職人の目を信用できるとしています。
 ここで私事を挟んで、面はゆいのですが、不肖は1.5mmを目指して切っていますが、色々と試してみて、50秒程度の場合が一番おいしいと感じています。それより短いとコリコリ感が強くなるし、それより長く茹でると、でれーっとした感じが出てきて、お味ばかりでなく口内の感触もいまいちになります。
 つまり、(自画自賛になってしまいますが)表の値は良く合っているのではないか、という訳です。
 上の2つの表をまとめると、次のようなグラフになります。ピンクの曲線が重要です。
    麺線の太さと茹で時間の関係(グラフ)

 くどいですが、最後は個人の好みの問題ですから、以上のことはあくまで参考です。
 だが、高橋一派の経験値はおろそかにはできないぞ、と密かに思っています。


  





コメント

  1. もっちゃん | URL | bZVCMemg

    茹で時間はどの時点から始めるべきか?いつも迷います。

    上記の茹で時間は「蕎麦投入時点」からカウントスタートするんですよね?
    鍋の大きさと茹でる蕎麦の量によって、再沸騰するまでの時間が異なりますが、この点はどのように考慮したら良いでしょうか?

  2. 管理人 | URL | G5Zeud3U

    茹で時間

     記事の例は、投入時点からのカウントです。
     
     茹で時間は、「①釡の容量」、「②火力」、「③麺の太さ」、「④投入する蕎麦の量」及び「⑤個人の好み」によって異なります。
     達磨の蕎麦会では、この3年では、③と⑤の変化があって、40秒であったり34秒であったりしたようです。
     ④については、①と②が専用のもので大きいですから、あまり問題にならないということだと思いますが、家庭での作業の場合には、無視できなくなります。

     我が家では、①~⑤を一定にしていろいろやって見た結果をもとに、50秒を基準にしています。我が家の場合の変動要素は③です(なかなか一定しません)ので、この50秒を基準にして少し長めにしたり短めにしたりしています。
     再沸騰するまでの時間も含めて、お宅専用の茹で時間を決めてやれば良い訳です。

     なお、家庭の場合、①、②が小さくなりますから、投入直後に温度がグッと下がります。特に投入した麺(集合体)付近の温度が、局部的に下がっていますから、麺の周囲の温度が早く回復するように、投入後、麺線が切れない程度に軽く動かしてやるのが良いように思います。
     達磨でもそういう動作を取っていましたが、この意味もあるのではないかと思います。

  3. もっちゃん | URL | bZVCMemg

    理にかなったご説明、ありがとうございます。
    やっぱり、自宅鍋での茹で時間と仕上がり加減の試行錯誤が必要ですね。
    我が家では、蕎麦粉の種類によらず生粉打ちの蕎麦は60秒で茹でています。

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