切りの際、麺帯がなぜ斜めになるのか(その2;左斜めになるケース)

2013年10月29日 11:16

 切りの際、切り口の線が斜めになる場合があります。
 良くあるケースは、切り口が麺帯の横の線に対して、右斜めになるケースです。(参照;切りの際、麺帯がなぜ斜めになるのか。
 そして、ケースとしては少ないですが、これとは反対に切り口の線が左斜めになるケースがあります。
 その様子は、下の図1のとおりです。
  nananme1.jpg
   

 このようになる原因の大きなものとして、体の移動との関係があるように思われます。
 以下の2つの写真は、その発生の状況を示しています。
 図2は、切り始めの状態です。
  naname2.jpg
 A1は、切り始めにおける包丁の位置で、B1は、切り始めにおける腰の左端の位置を示します。この状態から、左方向へ切り進んで行く訳です。

 図3は、切り終わりの状態です。
 包丁と小間板が大きく左に旋回しています。
  naname3.jpg
 包丁は、A1からA2の位置まで、距離Laを移動しています。
 にもかかわらず、腰の左端は、B1からB2の位置の間、Lbの距離しか移動していません

 本来、腰の左端はLaと同じ距離分をスライドして移動しなければならないのに、何らかの理由で、体を途中で止めてしまっている訳です。
 その一方、体の移動は止まっても、包丁は左に切り進まなくてはならないので、そのつじつま合わせのために、止むを得ず、上体を左回転させるということになってしまいます。その結果、包丁の線が左斜めになるという訳です。

 この現象が発生するのは、切る人が、体をスライドさせながら切るという技術が体得できていないという場合のほか、(それができる人でも、)切り作業の最後の段階(麺帯の左端近く)の場合に多いようです。
 こうなるのは、切りの最後の段階で、残っている麺帯を、本来の本数よりも多く切ってしまおうとして、体が横にスライドさせないまま無理して切り進むからです。
 上の写真は、そういう場合に該当しますが、切りの中盤においてこの現象が発生する場合も、原理としては同じです。体の移動がうまくいっていないということです。

 従って、対処法としては、「常に体の適切な移動を行う」ということになります。

 (写真の切り手は、高技能者でして、今回の件の例として掲げるのが失礼と思いましたが、体の左回転による斜め切りの状況がよくわかるので、使用しました。)


 
<参考> 体をスライドさせずに、切り進む例

 上記では、体をスライドさせて切り進むことが是であるとして、話を進めましたが(参照; 「包丁+腕」の動き)、体をスライドさせずに切り進むというやり方もあります。
 このやり方では、上記の理屈からいけば、上体の左回転という状況に陥りそうですが、手首の操作でこれをカバーしています。

 下の図4は、切りはじめの状況です。
  naname4.jpg
 特徴的なのは、すでに腕が体のやや中央寄りに向けられ、手首が外側(右側)に向けて曲がっていることとと、体の構えが麺帯と概ね平行になっている点です。(図2,3の場合は、(少し見にくいですが)腕の線と包丁の線がほぼ直線になっており、従って、体の構えは麺帯に対して斜めになっています。(参照;切りにおける「体の構え」(2)) )

 下の図5は、切り終わりの状況です。
  nname5.jpg
 写真を見ると、体はややスライドしていますが、大きな距離ではありません。
 一方、腕は体の正面付近に移動しています。また、それに伴って手首の折れが、わずかに大きくなっているように見えます。
 つまり、どちらかというと、手首を曲げながら包丁の平行を保つというやり方で切っている訳です。麺線はきれいに平行が保たれています。

 
 この写真の打ち手はプロです。
 このやり方では、微妙な手首の使い方が必要と思われます。
 しかし、もしかしたら、ただ単に包丁を小間板の枕に沿わせることに専念して切り進んでいるいうことかもしれません。
 いずれにせよ、このやり方になんらかのメリットがあるからなのでしょうが、そこのところはよく分かりません。
 


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