--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

延し(8)-「肉分けの連続」という捉え方

2013年10月20日 11:20

 「時間短縮」の項でも述べましたが、無駄な動作が多いのは、大体延しの場面のように思われます。
 この原因の大元には、延しという作業の捉え方とその作業方針がしっかりしていないという点にあるのではないかと思います。
(注)以下述べる「延し」は、肉分け~本延しの麺棒を使った作業を指します。
 延しの作業を一言でいえば、四つ出しの結果に発生した4か所の肉を、上から加圧し、その加圧によって生じる変形を上手にコントロールして、所望の矩形にするという問題に他なりません。
 いわゆる「肉分け」です。
 ただし、私が考える「肉分け」とは、通常言われている、四つ出しの直後の、肉分け作業の部分だけを指すのではなく、ここでは、本延しの最後の段階までを含んだものを指します。つまり、延しとは肉を分け続けることなのだ、という訳です。
 従って、「延し」の捉え方というのは、表題のように「肉分けの連続」とするべきであって、その作業方針は「その肉をいかにマネージメントするか」ということになるのではないか、と考えます。

 では、まず、実際の作業要領について整理をしてみたいと思います。
 上に述べた観点で、延し作業を単純化すると次の図1のようになります。
8-1.jpg

① E・W部分の肉分け
 E・Wに在る肉を図の①のように処理します。合わせて切り幅と麺線の調整を行います。

② N・S部分の肉分け
 E・W部分の肉の処理によって、N側とS側の左右の角に突起(Ne、Nw、Se、Sw)が出来ます。
 そこで、N・S側の肉を図の矢印のように処理します。

③ 調 整
 厚さと形を調整して、延しを完成させます。

 通常、本延し作業の最後では、NまたはSの先端部分に残存する肉を調整することになりますから、この意味で、「肉のマネージメント」が最後まで一貫して行われている訳です。従って、延し作業の期間中、肉に対する意識を持ち続ける必要があるということだと思います。

 次に、若干の説明を加えます。
 ①E・W部分の肉分け
 下の図2は、別記事「肉分けの基本は、大きく前後(南北)方向で」 の項で使用した図で、四つ出し終了後の生地の状態を表します。(説明省略)
    8-2.jpg

 そして、下の図3は、上の図を立体的に模式化したもので、東西南北に同じ形状の"丘"が出現している状況を表します。
 肉分けとは、この"丘"を均(なら)して、"平原"にする作業ということになります。
    8-3.jpg

 上の図3には、ABCDの4つのレーンが切ってあり、「各レーンの容積は等しい」ということを説明しています。
 この図から分かるように、あとは、麺棒を使ってひたすら南北に均(なら)していけば、理屈上は、きれいな"平原"が出来るはずです。(参照;「肉分けの基本は、大きく前後(南北)方向で」) 

 この理屈上の麺生地の動きは、下の図4のようになります。 
 青色の矢印の数は"丘"の容積に対応させています。南北方向にのみ均(なら)すだけで、理屈上はOKである、というのが理解できます。
8-4.jpg

 次は実際の麺生地の動きです。
 実際は、麺生地は前後左右に連続して繋がっていますから、上の図4のように真っ直ぐ北にだけ伸びてくれません。これに加えて、幅出しをしたり、麺線を整えたりという作業を行いますから、肉は、左右(東西)方向へも逃げていきます。イメージは下の図5のようになります。
8-5.jpg

 概ね北方向へ延びるのだけれども、計算通りにはいかないということです。
 更には、実際は全体が変な四角形になっていたり、角(かど)が変な富士山になっていたりしますので、現実は理屈からどんどん離れます。

 ②N・S部の肉分け
  次は、N・S部の肉分けについてです。
  理屈上の動きは、次のようになります。

  Eの丘とWの丘を下の図6の左図のように延すことで、ピンク色で示すように、NeとNwの角が出っ張ります。理屈的には、その形は三画形になります。
8-6.jpg
  続けてNの丘を右図のように延すことで、理屈的には、空白部分がぴったりと埋まります。

  次は、実際的な動きについてです。
  Eの丘を延すと、通常は、幅出しなどの意図的な操作もあって、図7の左図のように左右に広がりながら伸びていきますから、Neの部分はその分伸びが短くなり、鈍化した形になります。(意図的に尖らすのは話が別です。)
8-7.jpg
  次に(、W側を処理した後)、N側の丘を北方向へ延すと、NeとNwの伸びが不足しているので、結果は、右図のように中央部分が飛び出した形になります。NeとNwの伸びが小さくなっていたからです。

 従って、最後の処理としては、下の図のように左右の角(Ne、Nw)に向けて、肉を振り分けるような操作が必要になります。
8-8.jpg


 以上ですが、四つ出しで発生した肉は、本延しの最後まで(N・Sの縁辺部に)残っていますから、本延しも「肉分けの連続」であるろいう捉え方が必要になる訳で、それゆえに、作業方針として「肉のマネージメント」が大切になるものと思います。


 なお、以上の説明では、手順として、
①まずNe、Nwなどの角を出し
②その後中央部を押し出す
 、と2段階に分けていますが、通常はこれを同時並行で行うことが多いようです。
 ただし、それを上記のような、生地の動きを理解したうえで行っているのであれば良いのですが、往々にして漫然と行っていることが多いように思います。
 麺生地の状況に応じて的確な操作をするためには、生地の動きの実態を理解したうえで対応することが必要ですから、まずは、上記のように動きを分解し、原理的なことを把握することが大事だと思います。

 さて、これまで、「延し」について色々と考えてきました。
 高橋邦弘氏によると、延しの作業は「麺棒を通して、厚い箇所を感知し、そこを延すのだ」ということですが、我々がその域に到達するのは簡単ではありません。しかし、四つ出しによって確実に発生している厚みのある箇所を、しっかり意識し続け、それをうまくマネージメントすれば、それに近いことができるのではないかと思います。

 …余談ですが、麺棒というのは、この点大変良くできています。
 麺棒の片方側に力を加えて肉を処理していても、麺棒のもう一方側も転がりつつ軽く「延し」をやってくれていますから、全体はグラディエーションを掛けたように延されて行きます。
 つまり、打ち手は、おおむね肉に集中すれば良い訳です。それ以外の(薄い)箇所は、必要な場合は別として、あまり強く意識しないでも良いような気がします。


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://mokuyokai.blog18.fc2.com/tb.php/169-48499338
    この記事へのトラックバック


    最新記事


    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。