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延し(4) - 猫手と平手(ひらて?)

2013年09月14日 15:15

 延し棒を操作する際の手の形の種類は、大きく2つに分けられると思います。
 一つは、手を丸めた形である「猫手」で、もう一つは手を広げた形にする「平手(ひらて)」と言われているものです。(「猫手」に比べ、「平手」の方はあまり一般的でないようですが、ここではこの用語を使用します。)

 猫手は、麺棒操作の基本として一般的に使用されますが、前回の記事で記したように、麺棒を介して、前方に向かう力が麺生地に加えられることになりますから、麺生地に対する悪影響が発生する場合があります。
 特に、生粉打ち等の場合や加水が足らない場合など、麺生地の繋がりが弱い状態の時に、割れやサメ肌などの発生という現象となって現れ、麺生地の内部組織の結合を弱めることになりかねません。
   fig1nekote.jpg

 前回の記事では、その防止策として、「後進の延し」を例示しましたが、もう一つの方法として「平手」という手法が考えられます。
 下図は平手による延し棒操作の模式図です。
   fig2hirate.jpg
   
 猫手のように、麺棒を手の中で滑らせることをしませんので、図1で示すF2が発生しません。(前回の記事参照)
 従って、麺生地に対するストレスなしに、純粋に下向きの力だけが作用することになります。
 (丸出しの際に使用するバイバイの手もこの範疇ですが、この場合は、手のひらの中で若干ながら麺棒を滑らしていますので、前進力F2が発生しています。ただし、麺生地自体が麺棒の動きに合わせて同じ方向に滑りますので、悪影響は小さいといえます。)

 (ちょっとしつこいですが、)イメージとしては、下の図の「ラック・ピニオンギア」のような作用となります。
 歯がしっかりとかみ合って、手(ラック)と麺棒(ピニオン)間の「滑り」がありませんから、麺生地を純粋に上方から抑えるだけの力しか発生していません。
   fig3rackpinion.jpg

 このように、平手は、麺生地に対して効果的な作用をしますので、本来的には、理想的な麺棒操作になるのですが、実際の蕎麦打ち作業としては効率的ではありません。皆さんお分かりのように、作業の円滑性に欠けるのです。
 猫手が多く使用される理由はここにあります。
 歴史的に考えると、当初、先人も、延しの自然な手法である「平手」で始めたのでしょうが、「これじゃまどろっこしくってやっておれない」ということで「猫手」が考案され、これが現在に至っているのだと思われます。

 以上、猫手が標準的な操作法であるとは言えるのですが、麺生地の状態によっては平手で延すことを考慮しなくてはなりません。特に、(粗挽きの)生粉打ち等においては必然的に多用しなければならないと思います。



全くの余談 ; F2を小さくすることについて(道具の手入れ)
 F2は、上に述べたように猫手の場合に発生します。
 F2は、麺棒が手の平の下で滑る際の摩擦力に(伴う抵抗力)に関連します。
 従って、この摩擦力をできるだけ0に近ける、すなわち良く滑るようにするための手入れが重要です。

 道具の手入れということですぐに思い出すのが、イチローです。
 イチローは、勝った試合も負けた試合も関係なく、試合後に必ず道具の手入れを怠らないのだそうです。
 外国の一流スポーツ選手でも、ミスをした時などにバットやテニスラケットやゴルフクラブを叩きつける人がいます。見ていて気分が良いものではありません。プロならばなおさらのこと、道具に対する深い配慮があってしかるべきですが、そうしない選手が外国には多いように思います。

 一方のイチロー。
 次のように言っているそうです。

「バットの木は、自然が何十年も掛けて育てています。僕のバットは、この自然の木から手作りで作られています。グローブも手作りの製品です。一度バットを投げた時、非常に嫌な気持ちになりました。自然を大切にし、作ってくれた人の気持ちを考えて、僕はバットを投げることも、地面に叩きつけることもしません。プロとして道具を大事に扱うのは当然のことです」

 やや感傷的な言い方をしていますが、プロとして成果を出すために、道具の性能の維持や向上を図ることは当然すぎるほど当然と考えているからではないでしょうか。イチローは、自身の体もまた重要な道具であると考えていると思います。試合中も四六時中体を動かしていますね。

 こういうところから、イチローは世界のイチローであり続けることができているのだと思いますね。
 私は尊敬します。

   itiro bat
   打撃後も、バットを投げることはない。

         itiro.jpg
         わずかな時間も、大事な道具である体を動かす。守備中も同じ。


 
 全くの余談でした。m(_ _)m



コメント

  1. もっちゃん | URL | bZVCMemg

    平手オンリー

    いつもとても分かりやすい解説ですね。
    いかに蕎麦打ちに造詣が深いかが分かります。
    僕は、生粉打ち主体なので、いつも平手で打っています。
    だから、猫手が苦手です。

    延す際、打ち粉を多めに敷いて台と麺帯の抵抗を低減すれば猫手でもF2を相殺しながら打てそうですね。

  2. 管理人 | URL | G5Zeud3U

     パン生地や餃子の皮などを延すのに小型の麺棒が使用されますが、ここでは平手が使われます。これが自然発生的な形態であると思われます。

     それを日本人は、広くて平らな麺打ち台と軽くて長い麺棒を使い、猫手とういう技法によって、効率的に製麺する方法を編み出した訳です。

     道具としての打ち台と麺棒を、極めて高精度で作ろうとする着想、そしてそれを作ってしまう技術。加えて、猫手という工夫。

     イチローも、先般のイプシロンも、なんだかこの延長上にあるような気がします。

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