水回し(5)-再度あおりについて(天地替え)

2013年02月12日 10:15

 前の記事( 水回し(4) )で、「あおり」とは「通常の水回しののやり方では、水平方向の攪拌になりがちなので、垂直方向の攪拌を行うための手法である(のであろう)」と書きました。
 このあおりについて、以下に追加的事項を少し。
 寺西五段という、この業界では知らない人はいない女流名人がおられます。
 youtubeに動画がありましたので、あおりの部分を静止画に抜き出しました。

1 両手を左右からはさむようにして、中央に向けて寄せていきます。

       tera1.jpg


2 中央部の粉を真上に向かって噴き上げるようにします。
  そして、これを鉢の南北線上を移動しながらで繰り返します。

       tera2.jpg


 この動作は、動画を見ていると、水回し工程のなかでかなりの頻度で行われています。
 ホシが出てきたらおもむろに開始するというようなことではなく、かなり早い段階から何度も実施し、「ホシなどが出来るいとまも与えないぞ」という感じです。やはり、そういう考え方が重要なのですね。

 さて、先日、道場での稽古の際、前回書いたような「立体的攪拌」のやり方について、どうすれば効果的・効率的にできるかと試行錯誤をしておりましたら、それを見ていた技巧派理論派の鈴○さんが、「こうするんだよ」と、手の動かし方をコーチしてくれました。
 次の通りです。(以下、タオルで蕎麦粉を模擬。)

1 写真のように、中央部に向かって手を寄せていく。

       suzu-1.jpg


2 蕎麦粉の下側に手を入れ込みます。

       suzu-2.jpg


3 向こう側に粉を起こして行って、

       suzu-3.jpg


4 ひっくり返す。

       suzu-4.jpg


 以上の動作を鉢の手前側から鉢の先のほうへ向かって、ぱっぱっぱ‥と実施します。
 これは、寺西名人の手法と異なっておりまして、明らかに上部の層と下部の層の入れ替え作業です。

 そしたら、稽古場でこの様子を眺めていた大ベテラン実力派の梅○さんが、次のように言いました。
 「お、天地替え、か。」

 「天地替え!!」、そういう言葉があるということを初めて知りました。
 つまり、そういう考え方と操作があるのだが、あまり知られていない、ということなのですね。

 この「天地替え」、目的に適(かな)った、もう少し効率的なやりかたがあるような気がしますが、今後は、そういうことを考えながら、水回し工程の中に適宜取り入れたいと思います。




コメント

  1. ねこっち | URL | jEoNSDQ.

    あおりについて

    いつも楽しく見ています。
    ねこっちです(^-^)/
    このあおりですが、上下を返すという意味合いもありますが、
    水回し後半のあおりは、圧をかけて玉を大きくする意味合いもあるのかなって、個人的に思っています。
    時間短縮のためです。
    どう思いますか?

  2. 管理人です | URL | G5Zeud3U

    あおり

     水回しの後半は、粒も適当な大きさになっていますから、撹拌を行えば粒同士が接触する機会が増えるので、そういう意味では造粒の効果があり、時間の短縮になるかもしれませんね。

     これまで、あおりを行っている方々に、その理由を質したことがありませんでしたので、今度、聞いてみたいと思っています。
     なにかわかったら、書きます。

  3. ねこっち | URL | jEoNSDQ.

    ありがとうございます

    管理人さんありがとうございます。
    何かまた分かりましたら、
    教えてください(^-^)/

  4. ゴンゴロ | URL | -

    高橋邦弘名人(片倉流、一気加水))はあおりをしません。
    鵜飼流(寺西名人)と片倉流(分散加水)の違いでしょうか。

  5. 管理人 | URL | G5Zeud3U

     蕎麦打ち工程を、ざっくり「①水回し、捏ね等」と「②延し、切り、茹で」の2つに分けて考えた場合、どちらが最後のお味に対する影響が大きいかというと、②ではないかと思います。

     もちろん、全くでたらめな水回しは論外で、一応の水まわしになっているという前提です。「一応の」とは、どの程度か、ということになりますが、全麺協の初段~2段程度であれば一応OKといえるのではないかと思います。

     やや乱暴かもしれませんが、2段~5段の水回しの差というのは、水と粉との結合を更にきめ細かく一様なものにすることができてかつ所要時間が短い、ということではないでしょうか。つまり、合格圏の幅が広い、言い換えれば、概ね一応の範囲内なら味への影響は小さい、ということではないかと思うのです。

     一方、「延し、切り、茹で」は、そう言えないのではないかと思います。というのは、これで製品の姿かたちの良否が決まりますし、また、いわゆる「こし」の適否が決まりますから、蕎麦の味の大きな要素である食感に対して大変大きな影響を与えるからです。つまり、合格圏の幅が狭いといえます。
     
     記事では、私自身「あおり」の本来の意味を知らないので、私なりの意味付けをしてみたのですが、効率性の観点からの「立体的水回し」ということなら、私も理解できる、ということで整理をしてみた訳です。

     よく言われるのが、「水回しは大変重要である」ということですが、それはそれで一応わかるのですが、その言葉にとらわれすぎると、本末転倒になるような気がしています。
     ただし、個々の技術や理屈の追求は大事ですので、それはそれで行わなければならないと思います。

     長々となりましたが、この辺のことはまたの折に。

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