段位認定大会の会場で考えたこと

2010年01月23日 21:44

 本日、全国素人蕎麦打ち段位認定(埼玉)大会が行われました。
 私は、作業員(良く言えば運営スタッフ)で参加しました。
 手の空いている時間に(といってもほとんど手が空いていましたが)必死で蕎麦と格闘している受験者の皆さんの姿を眺めながら、蕎麦打ちの技術についてぼんやりと考えました。
 私も、数年前にはこの受験者の皆さんと同じように、必死になっていた訳ですが、こうして冷静な目で眺めてみると、大事なことが改めて良く見えるような気がします。
 思ったことは、次の2つです。

 一つ目は、「効果的な力の加え方」についてです。
 見ていて一番感じたのは、「力の入れ方が不足しており、効率的な作業になっていない」という点です。

 蕎麦打ちの作業は、蕎麦の形状の変化で区分すると、大きく次の3つに分けることができます。
 ①粉に水を加えて玉にする
 ②玉を延して薄い平板の生地にする
 ③生地を切って麺にする

 このうち、②について見ると、この段階の作業というのは、要するに「上から一定量の力を加えて薄くする」ということになります。
 玉の大きさと最終的な厚みは決まっていますから、上から加えるべき力のトータル量というのはある一定の値、(例えば)10kg、という風に決まります。
 言い直せば、「鏡餅状になっている玉を1.5m(長)×1.0m(幅)×1.5mm(厚)の平板にするのに必要な力のトータル量というのは(仮に)10kgである」ということになります。極端にいうと、練った玉に鉄板のようなものを乗せて、10kgの力でぐーっと押さえてやると、1.5mmの厚さの平板ができあがるということです。

 しかし、このように一気にやってしまうと不用の変形をしますので、実際の作業では、変形が起きないように(というか、むしろきれいな四角になるように)少しづつ力を加えていく訳です。そして、それらの力を足し合わせるとトータルで10kgになるということです。

 問題と思いますのは、手で押さえたり麺棒で延したりする、それぞれの動作において、加える力の一回あたりの大きさが、皆さん、小さいのです。(私も、そうでしたし、今もその傾向があります。)
 したがって、著しく時間が掛かってしまいます。(というのは、加ええるべき力の総量(10kg)は決まっていますから、どうしても回数でこなさなければならなくなるからです。)

 こうなる、理由には次の2つがあるように思います。

 ① 延すという作業の目的がはっきり認識されておらず、教えられた作業の形をなぞっているだけになっている。
 ② 効果的な力の入れ方が体得されていない。

 ①については、教える側にも問題があるように思えます。すなわち、その作業の目的は何か、ということを強調せずに、単にその動作だけを教えているというようなことが多いように思えるからです。それゆえに、実施者も、それを何のためにやっているか、そのためにはどうしなければならないか、という意識が薄く、ただ単に形をとっている、ということだと思われます。

 ②については、体重を上手に利用するというポイントが訓練されていない、というです。
 例えば、作業はできるだけ体の近くで行い、肘を伸ばすなどの配慮をして力(体重)が逃げないようにする、というような観点が必要になるわけです。

 このようにして、加えるべき力の総量10kgを出来るだけ少ない回数で(=効率的に(=短時間に))加えていかねばなりません。


 二つ目は、「無駄な動き」についてです。
 私は、蕎麦打ちの作業を論ずるというに「さばき(捌き)」という言葉が非常にピッタリと思うのですが、その言葉を使うと「体(たい)さばきが悪い」と言うことができると思います。蕎麦打ちを始めたばかりで無理もないわけですが、無駄な作業が非常に多くて、バタバタ、バタバタとしています。同じところを何回も触ったり、麺棒を持ったかと思うとすぐに戻したりとかいう無駄な動作が多く、流れるような、効率的な動作になっていないわけです。

 こうなるのは、ひとつには、やはりその作業の目的あるいは目標値がはっきりと意識されていない(よく分からない)ということがあり、もうひとつは、作業の流れが頭の中にイメージとして固まっていない、ということではないかと思います。
 こうならないようにするには、繰り返して同じ動作を訓練してそれを身につけるというのが1法ですが、それだけではなく、やはり、当該作業の目的をはっきり意識して、そのためにはどうしたら良いかという観点を持ちながら訓練していくことが大事なような気がします。

 私個人的には、その目標系列を次のように捉えています。
 最上位の目標は、いうまでもなく、
■「美味しい蕎麦を作る。」
 以下、順次、そのために、
■「(できるだけ)材料にこだわる。」
■「張りのある麺にする。」
■「粉間の圧着を良くする。(搗き固める)」
■「(できるだけ)短時間の作業にする」
■「無駄を少なくする」
(以下略。)

 なかなかうまく行きませんが、どんな蕎麦粉であっても体さばき鮮やかに作業を進められて、常にきりっとした蕎麦を作れる、という風になりたいものです。



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