中国艦艇の射撃管制レーダー照射

2013年02月08日 18:24

 政府は5日夜、先月30日に東シナ海で中国海軍の艦船が海上自衛隊護衛艦に射撃管制用のレーダーを照射する事案があったと発表しました。(2013.02.05 msn 産経ニュース)
 中国は、尖閣問題を徐々にエスカレートさせてきました。やくざの挑発には断固たる姿勢を示さなくてはなりません。
 発表から3日経ち、様々な論評が加えられていますが、私なりに整理をしてみました。
 尖閣諸島の領海・接続水域付近では、海上保安庁がしっかりガードを続けてしていますが、そのはるか離れた水域では、中国海軍と我が海上自衛隊が緊迫の対峙をしております。

 射撃管制レーダーの照射とは、いってみれば「至近距離で、ピストルの引き金に指を掛けて、銃口をこちらに向けた状態」です。軽く指を引けば弾が発射されて、わが方は即死、にもなり得ます。
 そういうシチュエーションですから、レーダー照射をされた時点で我が方が反撃をしても、それは国際法上、正当とされます
 「ピストルを向けられた」そのあとは相手の意図次第の状態ですから、その意図あり(あるいは可能性大)と判断すれば、自衛のための反撃行為をとっても問題はない訳です。
 その結果として、相手を撃沈してもかまいません。

 反撃(撃沈)をした後には、その根拠(照射の事実)を示す必要がありますし、反論されても動じない気概を示すことが必要となります。照射レーダーの受信記録、彼我態勢等の推移の経緯(戦闘記録)等、有無を言わさぬデータが必須ですが、どうせ相手も反論してくる訳ですからですから、最後には、断じて譲らないという気概とそれを裏打ちする力(政治力、軍事力)の勝負になります。いわゆる政治大国、軍事大国はそれが出来ますが、わが日本はというと、大変残念ながらその部分には?マークが若干つきます。

 今回は、幸か不幸かそこまで行きませんでした。
 その上で、中国に対して強く抗議するという、わが国の対応は先進国家として優れていたといえると思います。ただし、「中国に自制を求める」という程度ではなく、「今回は大目に見てやるが、今度やったら、ただじゃ済まねぇぞ。次は、国際法に基づいて即撃沈、ということも大いにあるぞ。いいか。」くらいの凄みを言外に利かさなければなりません。これこそが、軍事力を上手に使う、本来の正しい外交です。

 今回、我が政府からの申し入れに対する中国政府の反応が鈍いようです。
 ということは、今回のことは中国政府にとって想定外の事象であった、つまり海軍レベル以下の判断による暴走であった可能性が高いように思われます。海軍の司令部レベル、あるいは艦長の判断、ひょっとすると当該レーダーの操作員レベルの判断、‥も考えられます。
 中国国民は「愛国無罪」の考えに染められていますし、他を顧みない利己的思想が蔓延していますから、個人的な感情の発露としてあるいは軍の利益のためという考えの下に、「やってしまえっ」ということになったということも大いにあり得ます。

 日清戦争前の1886年、清国北洋艦隊が日本に脅しを掛けるために長崎に入港しましたが、上陸した乗員が市内で乱暴狼藉を働きました。(長崎事件 wikipedia
 清国海軍将兵のモラル(志気)は最低でありました。
 この様子を見ると、現在の中国人は当時と全く変わっていないことが伺えます。
 そんな相手ですから、自制を求める、など理性に訴えても効果はありません。
 毅然たる態度をとり、あるときは体罰(たとえば、経済制裁)をもって心の底から分からせる必要があるのです。

 かの国の国民性は、「強きを助け弱きをくじく」です。
 アメリカ海軍なら、こういう場合に毅然として反撃をしますから、中国はアメリカに対しては同様のことはしません。つまり、力の均衡によって、現実の国際社会では平和が保たれているということなるのです。"力"がないと、危険な状態(戦争、紛争)になりやすいということが言えます。現にベトナムやフィリッピンは、西沙諸島、南沙諸島で島を奪われ、人が殺されています。
 (小沢、鳩山、山口(公明)などの人々は、この辺のことがしっかり腑に落ちていないのです。)

 ということで、安倍首相の今後の手腕に期待するところ極めて大です。
 海上自衛隊は、外交をバックアップするに足る力(軍事力)と知力(センス)を十二分に備えていますから、存分に腕をふるって貰いたいと思います。




 さて以下は、おまけです。興味のある方はどうぞ。
 今回、射撃管制レーダーの照射をしたのは、中国海軍のジャンウェイ型駆逐艦(艦番号522)です。

     janweiwhole

 ジャンウェイの火器(ミサイル、砲類)とそれを管制するレーダの関係は、概ね次のようになっています。
 下の写真は、艦の前半分と、後ろ半分を示したものです。

     Jiangwei 522 Fk
     Jiangwei 522 Bk

     

 赤文字の番号①、②、③が今回関係ありそうなレーダーで、黒文字の①’②’③’がそれに対応する武器です。このように、一般に、それぞれ武器に合った専用のレーダーが対応して装備されています。
 番号①はType352という対水上捜索レーダーです。

          TYPE 352 square tie
     
 相手は水上に在る船ですから、これを捜索するために、レーダーアンテナは水平方向に回転させます。こうして相手の位置を方位と距離という2次元のデータとして得て、このデータをもとに、艦の前方にある①’100ミリ艦載砲または後方の①’対艦ミサイルによる射撃を行います。
 
 番号②はType345という対空ミサイル管制用のレーダーです。目標とするのは自艦に向かってくる航空機また対艦ミサイルです。

          Type_345_FCR_-_I_band.jpg
         
 写真左の円盤はパラボラアンテナで、ペンシルビームの電波を形成し、目標の位置を方位、距離、高度の3次元で決定します。そのため、このアンテナは、水平方向だけでなく上下にも動きます。
 写真の向かって右側にくっついているのは、TVカメラ、赤外線カメラです。オペレータが目で確認しながら航空機を追尾することもできます。
 そして、目標の位置、速度、進路を計算し、敵と判断されたら、対空ミサイルを衝突予想位置(命中点)に向けてぶっ放すわけです。
 我が海上自衛隊のヘリコプターも中国海軍艦艇からレーダー照射を受けていますが、おそらく、このレーダー又は次に記すレーダーによるものと思われます。

 番号③はType347という対空火器管制レーダーで37ミリ連装自動対空砲(機関砲)に関連しています。
 写真の左見える2本の銃身がその対空機関砲です。

          Type 347

 この機関砲は、前部に2基、後部に2基積まれていますが、これは、自艦に向かってくるミサイルがいよいよ近くに迫ってきたときに使用されるものです。


 以上のレーダーのうち、実際にどのレーダーが我が護衛艦に向けて照射されたかは不明ですが、引き金に指を掛けた状態でピストルが向けられたのだ、という様子を感じていただけたでしょうか。

 当時、この中国駆逐艦との距離は3キロ程度であったようです。艦影は見えており、艦長以下双眼鏡で相手を観察していたはずです。100ミリ砲の砲身はこちらに向けられていなかったようですが、対艦ミサイルは(固定式ですから、それが自艦に向けられたということはありませんが、)有効に発射できる状況でした。

 護衛艦内の所要の場所では、射撃管制レーダーの照射(ロックオン)により、警報音が鳴り響いていたでしょう。この時点で、相手の意図は不明ですが、相手は、話合いなど通ぜず、激高してすぐに乱暴狼藉を働く手合いですから、万が一のことを想定して、艦長以下の乗組員は相当の緊張をしたはずです。

 おそらくは、今回の事案は単なる威嚇ですが、なめられていることは確かですし、不測の事態に陥るかもしれない大変危険な状態です。
 このような状態に至らないように、持てる力を普通に行使できる、普通の国の普通の軍隊に、はやくすること必要です。


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