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水回し(3)-加水はほぼ全量を中央に

2013年01月26日 11:16

 (1)と(2)で述べたのは、水はほぼ全量を一気に入れて、できるだけ手早く小豆粒状に持っていくということでした。
 また、プロなどは、加水の際には、中央部にお池を作るようにして水を投入している状況を紹介し、そのことが小豆粒状に持っていく上でも良い、と書きました。
 以下、その理由にも触れながら、その辺の屁理屈を整理したいと思います。
 下の図は、お池が作られた状態です。
 ここから、水のひとつぶと粉のひとつぶを合わせて行く戦いが始まります。

     MIZU3-1.jpg

 この段階で、一気に撹拌を始めてはいけません。
 片倉先生も書いているように、また、プロたちが行うように、(お池の)水に向かって周囲の粉を掛けることから始めます。

 片倉先生は、前回紹介した著書の中の【「水まわし」手順(一)(111p)】の箇所には、水をザーッとあけた後、
「④水の滲みたところに、周囲の粉をかぶせる。」
 と書いています。

 また、写真で紹介したプロたちも、作業の状況を見ますと、最初はお池に向かって粉を掛け、その部分を少しずつなじませるような動作をしています。

 イメージ的には、下の図1のように、まず、周囲の粉をかぶせます。
 図2は粉が掛けられた様子です。

MIZU3-2.jpg

 図2に見るように、水分は少しずつ粉に向かって浸透をしていきます。(浸透することは出来るだけ避けたが良いような感覚がありますが、一方で、湿潤によって、そば澱粉粒のクラスター(葡萄の房状)を崩すことにもなるので、かえって良いようです。)


 そして、かぶせた部分を、指の先っちょで撹拌します。以後、暫くの間は、水が直接に指先につかないようにしながら(粉を水の塊に向けて押し入れるような感じで)粉を掛け、優しく撹拌します。

     MIZU3-3.jpg

 できれば、土手が崩れて洪水にならないように、そーっと、行います。ここまでのところで、10秒位でしょうか。


 下の図は、更に、周囲の粉をお池に向かって寄せているところです。

     MIZU3-4.jpg

ところが、たいていの場合、池の土手が崩れて、このような絵のとおりにはいきません。
 しかし、打ち手は土手の崩壊現場は見ているはずですから、次は、流れ出した水の塊に向けて粉を掛けて(寄せて)行けば良いのです。但し、まだ本格的な撹拌を始めてはいけません。引き続き、水の中に指を突っ込まないように、優しく表面を撫でるようにして撹拌をすることが大切です。

 ここまででお分かりのように、水回しの最初の段階で、水と粉のコントロール(制御)が出来ることが重要なのです。

 最悪なのは、いきなり全体の撹拌を開始することです。そうすると、手指には水がつき、その部分に粉がまとわりつき、手がべとべと状態になります。見方を変えると、指全体がまるで大きなダマになったままで、水回しが推移することになりますから、そのダマ部分は、水回しが行われないことになります。(指先がいつもきれいな状態であることがカッコいいし、水回しの目的にも合致します。)

 次に、好ましくないと思われるのが、「の」の字に加水をすることです。
 これは一見よさそうですが、水の在り場所が一箇所ではなく、長く広がっているためにコントロールが難しくなると思います。上で述べたような、少しづつなじませていくということが出来にくいのです。このため、上のようなべとべとの手になりがちです。
 じょろのようなものを使って、散水しながら…撹拌しながら…、という操作をすれば話は別かもしれませんが、計量カップやボウルなどから投入するとなると、(「の」の字をした)水路のようなものが、鉢の中にできるのですから扱いは面倒です。

 このようなことで、加水では「中央部の一箇所に水を溜めて、打ち手がコントロールできる」という点が重要である、と思います。
 そして、ここから先は正しいかどうかわかりませんが、このお池方式のメリットは更に続きます。


 水塊に指を突っ込まないようして、水と粉をなじませるように優しく撹拌していくと下の図のようになります。

     MIZU3-5.jpg

 Cは、それなりに水と粉が混じった塊です。小さなダマといっても良い状態のものです。
 Bは、未だ撹拌さてれいない、水と粉が混じったものです。ごく表面は幾分粉っぽいですが、水塊Aと接している部分では、ドロドロになっていると思われます。
 Aは、徐々に下部に浸透して行った水です。粉と混じってはいても、かなり水っぽい状態です。
 

 この状態になったら、続けて、次のような操作を行います。
     MIZU3-6.jpg

 Bは、図のような平たい塊になっていますので、この表面から表皮を削り出すようにして撹拌を行います。表面を撹拌し、徐々に下の部分へ向かって撹拌をしていきます。いきなり、指を突っ込んではいけません。

 こうしていくことで、大きなダマが出来ることなく、全体にわたって小さい塊が生成できます。

 この段階までの時間は、(計ったことはありませんが)1分弱?でしょうか。(今度、計ってみます。)

 そして、撹拌する指が鉢の底にまで至ったら、そこで初めて、先生から習ったとおり、鬼の手で、できるだけ早く、大きく、止まっている粉が無いように、どんどん撹拌をしていく‥‥、という訳です。

 以上、ポイントは「一箇所に水を集めておいてコントロール(制御)するのだ」ということです。
 こうすることで、水回しの目標である「一様な小豆粒状を作ること」に近づけるのだと考えています。

 


コメント

  1. ねこっち | URL | jEoNSDQ.

    はじめまして。
    趣味でそば打ちをしているものです。いつも楽しみにしています。これからもよろしくお願いします。やっぱり詳細な理屈が分からないと、私もダメな性格なんです。
    ブログ最高です!

  2. 管理人 | URL | G5Zeud3U

     ねこっちさん、コメントありがとうございます。
     弊ブログ、個人的な少ない経験をもとにして屁理屈を組み立てている状況で、物足らない点が多々あります。
     実証的にデータを取るなどのことをして、科学の域に踏み込みたいのですが、諸般の事情でそこまでいけてません。
     しばらくは、このスタイルで行きますので、皆さんから様々なご所見を頂きたいとたいと思います。
     引き続き、よろしくお願いします。

  3. ゴンゴロ | URL | -

    高橋名人の弟子の00名人の水回しは見事ですね。

  4. さど | URL | Mx09nRN2

    初めまして。素人そば打ち愛好家です。いろいろ検索していて、
    このブログと出会いました。
    経験論的なことに基本的メカニズムを合致させる研究、
    とてもわかりやすく有益で、大変勉強になります。

    さて、水を全量の9割方を一気に、中央部に池をつくるように
    することの意義、とてもよく納得できました。

    ここで不思議に思ったのですが、素人そば打ち名人の
    井名人の実技のYouTube動画を見たのですが、
    段階的加水で、「の」の字に水を注いでいました。

    https://www.youtube.com/watch?v=BWrdi4I8g7M

    このくらいの名人レベルになると、その後の水回しの
    手さばきに無駄がないから、どのように注いでも
    うまくいく、という解釈が成り立つでしょうか。

  5. 管理人 | URL | G5Zeud3U

    のの字かお池か

    さど様

     基本的にはおっしゃるとおりと思います。
     のの字にしようがお池にしようが、大差はありません。

     要は、いかに早く、均一の砂状/オカラ状にするかということであって、そこをうまく処理できるのであれば、水を入れる形は関係がない、ということだと思います。(ただし、入れる量には関係があり、少なすぎても多すぎてもダメで、概ね適量というのがあります。)

     むしろ、問題は水の投入後の処置です。
     水回しとは「粉の一粒と水の一粒を合わせるのだ」と言われていますが、これは完成状態のことだけを言っているのではなく、水の投入直後から、「(乾燥している)粉と水とを、効率よく合わせるように、鉢内を操作することが大事だ」ということです。
     貴コメントに「このくらいの名人レベルになると、その後の水回しの手さばきに無駄がないから、…」と書いておられますが、それはこういうことを指しているのだと思います。(初心者の段階では、この辺を考えず、やたらと撹拌するので、手がべとべとになってしまう(=手の周辺に水が偏在してしまう)場合が多い。)

     また、井名人の動画でのの字に入れているのは、準備されているのがやかんですので、自然と(本能的に)のの字に回して入れたのではないでしょうか。これが、ボウルだったらお池にしたかもしれません。

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