四つ出しについて(1)

2012年10月28日 22:03

 (ブログが滞ってまして、気になっています。ちょっと忙しくしています。)
 先般、四つ出しについてのご質問があり、自分自身も下手なので、今その整理をしています。
 簡単に中間報告をします。
 蕎麦打ちの工程の中で、四つ出しは結構難しい作業です。
 それは、ひとつには生地の形が変化する様子をこの目で確認できないからです。

 たとえば、手でひと押しするごとに生地を展開して、その都度状況を確認しながら作業をすれば、多少はうまくいくと思います。でも、そんな悠長なことはできません。パッ、パッと決めたいわけです。

 そうなると、訓練によって感覚を磨くしかありませんが、その前に、一応は四つ出しのメカニズムを理解して、訓練の方向性くらいは把握しておくことが必要です。

 まず、以後のお話を進める便宜上、次のように名前を付けたいと思います。
 下の図のように、一番最初に巻棒に巻き込む部分を「第1コーナー」、次の部分を「第2コーナー」、以下順次「第3、第4コーナー」とします。

   4tudasi.jpg


まず次のようなことが言えると思います。

1 四つだしのメカニズムの第1ポイント
  回転させながら上から生地を押す訳ですから、より多く伸びるのは麺棒の下側になっている部分、つまり、番号で言えば第2コーナー側のエリアになります。(普通、内側に巻き込んだ第1コーナー側が圧迫されて良く伸びると考えられていますが、それは単なる先入観ではないかと思われます。)
 確かに、内側に巻きこまれた部分も、若干第1コーナーの方向に伸びるのですが、量的には少なくなります。その理由は、ここを参照してください。

 上のことは、たとえば、グランドをならすローラーをイメージしてもらえばよいと思います。

     roller.jpg

 仮にこういうもので(そば生地のような)物体を延すとしますと、前方側は良く伸びるはずですね。同時に、上からの圧がかかっていますから後方にも若干の伸びが生じます。(四つ出しでは、トントンとたたくような動作で押していくのでこの傾向は大きくなると思われます。)

 要は、四つ出しも巻き延しも、生地を展開した状態を考えるとわかりやすいと思いますが、いずれも「 前方に向かって行う 『 延し 』 」に他なりません。だから、基本的には前方側が伸びるのです。

2 メカニズムの第2ポイント
  内部に巻きこまれた第1コーナー側は、回転することで、どんどんきつく締まってきます。
  たとえば、新聞紙などを丸めてしっかりとした硬い棒を作る場合、上から押さえて転がしますね。
  
     sinbunsi.jpg

  このように押さえながら回転を続けると、たるみが取れて行って内部側がどんどん締まってきて、内側は窮屈な状態になっていきます。

  こうなると、内側にある第1コーナーの先端部分付近には伸びていく隙間がありませんから、伸びにくくなっています。いわば頭打ちの状態なのです。(一方、第2コーナーは、フリーですから伸びる余地はたくさんあります。だから、更に伸びやすいということになります。)
  このようなことから、一回目の四つだし作業のあとの第1コーナーと第2コーナーの形を比較すると、第1コーナーの方がなだらか(Rが大きい)になっています。

  ところが、実際に、内側の方(第1コーナー)が良く伸びるケースがあります。
  これをもって、内側が良く伸びるという迷信?ができたのだと思いますが、この場合の形を見ると大体はいびつな形になっているようです。極端には、凸凹のある、いわゆる富士山になる場合があります。
  どうしてこうなるのでしょうか。

  原因として、次のようなことが考えられます。
  case1 生地が柔らかい
  柔らかい生地というのは、非常に変形しやすいという性質を持っています。押さえると容易に薄くなるし、形も尖がったりします。こういう柔らかいものが、第1コーナー付近の非常に窮屈で隙間が無いところに挟まった状態で、上から圧力がかかるとどうなるでしょうか。

 完璧に隙間が存在しない状態だと伸びることはできません。しかし、実際には、生地には厚いところ薄いところがあって、薄い箇所にわずかな隙間が存在しますので、圧力が加えられた生地がその隙間に向けて、部分的ににゅるにゅると伸びていくわけです。そして、その微妙な隙間の形に沿うようにして、尖がった形や富士山の形ができるわけです。
 伸びた部分を良く見ると、大抵の場合薄くなっておりますから、そのことを裏付けているのではないかと思います。

 (※「柔らかいと変形し易い」ということは、「過剰な強い力をかけると(硬くても)変形しやすい」ということと同じですから、厳密には、「生地の硬度」と「力の強弱」との相対的関係となり、単に「柔らかいと…」とはいえません。しかし、通常は、あまり大きな力は加えませんから、上のような捕らえ方でよいのかな、と思います。)

  case2 丸延しの縁辺部の形や厚さが一様でない
  これは、もう見たとおりです。
  全体に均一な圧力をかけると、形が凸になった箇所や厚みのある箇所が出っ張ります。

  case3 手で加えられた圧力が局所に片寄っている
  良く言われる理由がこれです。
  そこの所を押しているからそこが伸びるのだ、というわけです。
  が、これは少し違うのではないか、と思います。
  毎回同じような手の使い方で作業をしているにも関わらず、尖んがりや富士山という現象が発生したりしなかったりするからです。
  富士山の部分が、細かいぎざぎさになる理由も、これではうまく説明できません。

  つまり、生地が柔らかかったり(≒過剰な圧力がかかったり)、縁辺部に凹凸があると、内側に巻き込まれた部分(第1コーナー)が窮屈になっているので、薄くて尖った形になりやすい、ということだと思われます。

 
 …というところが中間報告です。
 皆様、今度打つときに、上のことを念頭にして状況をよく観察して見てください。

(次回は、ではどうするかということについて整理をしてみたいと思います。)



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