弾道ミサイル防衛システム(Balistic Missile Defence)

2012年04月01日 11:23

 海上自衛隊のイージス艦「きりしま」が31日朝、横須賀を出港しました。
近く、「みょうこう」(舞鶴)及び「ちょうかい」(佐世保)が出港し、東シナ海に2隻、日本海に1隻が配備されます。
      kirisima.jpg
DDG 霧島
  
「弾頭ミサイル破壊措置命令」が、防衛大臣(と言われている方)からミサイル防衛統合任務部隊指揮官である航空自衛隊航空総隊司令官に発出されました。付与された任務は、「わが国の領土領海に飛来(落下)する弾道ミサイルの本体または部品を撃破すること」です。

 この任務は、イージス艦のみで対応するのではなく、PAC3陸上配備型迎撃ミサイル空自航空総隊(横田)の指揮管制システム、さらには米軍のシステムを含めた大変大掛かりなシステム全体で対処することになります。このシステムを総称してBMD(Balistic Missile Defence)システムといいます。
     186976.jpg

 近年は軍事に限らず、民間企業等においても、様々な機材・人員がコンピュータネットワークで有機的につながって、組織としての活動が行われるのが一般的になっていますが、軍事システムにおいては、それが更に先鋭化しています。
 対応すべき事象が広範で複雑ですから、銀行システムや鉄道システムなどのように単機能に特化されたものでなく、より大規模で複雑かつ高度な機能・性能が求められるのです。

 また、「システム」というとコンピュータを中心とした機械類をイメージしますが、それだけではなく、それを使う人間もシステムの重要な要素として、その中に含めて考えなければなりません。つまり、複雑で精緻な機械類を、トップの指揮官から末端のオペレータまでがそれぞれに応じた能力でもって使いこなすことができて初めて、全体システムとしての能力が発揮できることになるからです。人の要素も含めて「システム」ということです。

 上に、銀行システムや鉄道システムのことを、やや上から目線で、下位にあるように書きましたが、実は、自衛隊のシステムよりも優れている点があります。
 それは、これら民間のシステムは商戦という実戦を通じて育てられているシステムになっていますが、自衛隊のそれは必ずしもそうではない、という点です。

 一般に、システム(特にコンピュータシステム)は、ソフトウエアの改善(バージョンアップ)で比較的容易に進化させていくことができますし、そうすることがまた敵(商敵)に対して優位に立つには大変重要なことです。
 銀行システムや鉄道システムなどでは日々実戦ですから、その実戦を通じた大変貴重な教訓・反省事項(要改善点)をどんどん取り入れて行けます。一方、自衛隊はほとんどが訓練ですから、それが出来にくいのです。もちろん、よりリアルな訓練をすることによって、あるいは実戦経験が豊富な米軍等の教訓を生かすなどしてシステムの改善が行われ続けてはおります。しかし、やはり実戦を通じないと得られないものがあるのです。

 少し差し障りがある言い方かも知れませんが、今回の出動はそのための大変良い機会です。
 3.11では、災害派遣といういうなれば余技でしたが、今回はより実戦に近い本来の仕事をする訳です。

 自衛隊の能力も上がりますし、国民の意識も変わるでしょう(※)。
 この点に限っては北朝鮮にお礼を多少言っても良いかもしれません。

 でもその前に、今後数週間、海上で緊張に耐えながら任務についているイージス艦をはじめとするBMDシステム関係者に声援を送り、任務が無事達成されることを祈りたいと思います。

20101101224403b9b.jpg





(※)追記;中には、こういう人がいて、こういう人はなかなか変わらないのでしょうね。(毎日新聞夕刊(2012/3/30)から)
 日本最西端の島、与那国町でも破壊措置命令を受け、30日午後に外間守吉町長を本部長とする「危機管理対策本部」を初めて設置。情報収集し緊急事態に備える。
 こうした事態に、陸自誘致に反対している与那国町の女性グループ「イソバの会」会員、田島琴江さん(55)は「正直困っている。落下する恐れがあると言われるとPAC3配備など今回の自衛隊の動きには反対しづらい。町民間に『やっぱり自衛隊は必要だ』という雰囲気が生まれてしまうのが心配だ」と話した。




コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://mokuyokai.blog18.fc2.com/tb.php/118-7145068f
    この記事へのトラックバック


    最新記事