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脊髄(せきずい)で切る

2012年03月20日 16:20

 包丁を持った手の動きには2種類あって、包丁の面と同じ面上での動き(=押す・引く)と麺線の幅を決めるために包丁を傾ける動き(=倒す・戻す)です。
 これらを、最初から最後まで、一定の動きになるようにコントロールし続けるためにはどうしたらよいのでしょうか。
 よく、「リズムで切れ」といいます。
 一本、一本の幅を観察しながら(考えながら)切ってはだめよ、ということです。

 これに関して数年前に、興味深いテレビ番組が放映されておりまして、その時の感想をメモに書いておりますので、再掲します(20.10.3 旧HP「蕎麦日記」)。


 (引用開始)
 20.10.13
 今日は、体育の日でした。
 テレビでは、北京オリンピックの舞台裏や、検証番組を流しておりました。
 そのなかに、精神(プレッシャー)の問題を扱った、大変興味深い番組がありました。

 男子100mにパウエルというジャマイカの選手がいます。これまで好成績を残し、北京では優勝の声が高かったのですが、結局ライバルに負け、3位に終わってしまいます。
 このテレビ番組では、その原因を探ろうというのですが、その結論は「ライバルを意識しすぎ邪心が生じたからである」というものでした。

 では、その邪心がなぜ筋力に影響を及ぼすのか、という点ですが、次のように説明されました。

 徒競走では、手足を、強く早く交互に動かすのですが、前後運動の命令は「脊髄」から出されております。すなわち、特に短距離などの瞬発的運動では、脳のコントロールは行われず、いわば機械的な脊髄からの信号に応じて、手足の前後に配置された筋肉が、一定間隔で交互に伸縮を繰り返すわけです。ここで、この「一定間隔で交互に」というのがポイントになります。

 平穏な精神状態では、脳から特別な信号は出ることが無く、脊髄からの「一定間隔で交互に」出される信号だけで体が動くのですが、脳に「邪心」などが発生すると、それがこの「一定間隔で交互」の信号に対して不規な信号として乗って来、リズミカルな筋肉運動に齟齬をきたす、ということなのだそうです。筋肉を延ばすべき時に、あたかも収縮に相当する信号が到来するというような状況が発生し、正常な動きが出来なくなり、従ってスムーズな動きがとれなくなる、ということです。

 100m男子決勝のスロービデオを見ると、確かにパウエルの動きがスムーズでありません。変に手に力が入りパーからグーに変わって縮んでいるのが写っていました。彼らは、ぎりぎりのところで戦っていますから、ごくわずかな異変が大きな差になって現れるのです。

     race100m.jpg

 緊張したり、あがったり、人の眼を意識すると本来の力が出ませんが、それは、こういうところに原因があるのですね。
 (引用終り) 



さてそこで、以下に、これらに関する筋肉の動きについて、整理してみました。

 多くの筋肉では、骨を挟んで、所望の方向に動かす主動筋と逆方向に動かす拮抗筋が一対になって存在しているそうです。
 腕に関しては、次の図のようになります。
 下の図は、腕を曲げる時の状況です。

     kin1.jpg

 主動筋である上腕二頭筋が収縮することで腕が曲がります。
 このとき、骨を挟んで裏側にある上腕三頭筋は弛緩をしますが、このときこれを拮抗筋というそうです。(また図では、協働筋というのがあって、腕の屈曲の場合は腕橈骨筋がこれにあたり、この筋肉は、おそらく全体のバランスをとるような役目を担っているものと思います。)

 腕を伸ばす場合は、下の図のように、役割が逆になります。
     kin2.jpg

 そして、包丁を倒す・戻すためには、(たぶん)前腕の腕橈骨筋がねじれるような動きをするのだと思います。

 腕の前後の繰り返し運動をさせる場合、脊髄からの信号は下の図のように、交互に流れてきます。

     signal1.jpg

 蕎麦切りの運動においては、この信号ラインの次にもう一本、腕橈骨筋辺りの筋肉をねじらせ・戻すという信号がくるはずです。
 よくわかりませんが、イメージ的には下の図のようになると思います。(3本目は、推測で書きたしたものです。正確にはここにも主動筋・拮抗筋がある?)

     signal2.jpg

 包丁の「前後の動き」「倒す・戻すの動き」は、上の図のような組合わせで、脊髄から次々と送られてくる、という訳です。
 まさに、「脊髄で切る」ということです。

 しかし、これは一種の理想です。
 歩くとか走るとかいう、いわば本能的な動きと違って、切りの際の腕の動きというのは日常のことではありませんから、そこまでのレベルになるのは大変難しいと思います。
 実際は、かなりの部分、脳で処理していたり、あるいは、脳から盛んに乱調信号が流れているのだと思われます。
 そして、その結果は、乱れ切りです。

 では、そうならないためにはどうしたらよいか?
 筋肉系の繰り返し訓練を積むことで、脊髄からの信号で動作できるようにするとともに、意識を消すような精神面でのトレーニングが必要のようです。
 
 後者は、私のような色気たっぷりの小人にとって、最も難しい課題です。



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