切りにおける「体の構え」(2)

2012年03月16日 14:55

 前の記事で、「肩関節の位置を固定し上腕を動かすことで切り進む」という 『「包丁+腕」機構』 について書きました。
 この「機構」の特徴は、包丁の面と腕の動きの面が同一になっており、左右のぶれがないということです。(下図)
        meca.jpg


 では次に、この「機構」を「体」に対してどのような関係にするのが、一番自然で、余分なぶれなどが発生しにくいか、ということについて考えてみたいと思います。

 肩関節は正確には「肩甲上腕関節」というようです(ちょっと見にくいですが、下図のⅢの箇所)。
 肩甲骨の一部が丸いくぼみの受け皿状になっていて、そこに上腕骨の端(球状)が接する形になっています。
 この様子は、③と④の部分がよく解ります。
 
     hone.jpg

 脱臼というのは、ここが外れることをいうのですが、そういう変なことをしなければ、この肩関節の可動範囲内では相当に自由な動きが可能です。逆に言うと、自由だからこそ一定の正確な動きをさせるのが難しいわけなのですが、そういう中でも、この「機構」を自然で無理なく安定的に動かせられる「方向」があるのではないかと思います。

 その答えは、「両方の手を体の前方に自然に持っていったときの方向」ということになるのではないかと思います。
 私たちは、三度三度ご飯を食べるとき茶碗と箸を持って体の前に集合させるような動作をしますが、そういうときの腕の方向です。このような、両手を体の前(=目の前)に集合させる動作は、日常の中で非常にたくさんあります。私たちは、なにかにつけこのような体勢をとっています。
 ということは、上腕と体との最も自然で無理のない関係とは、この時の関係である、ということではないでしょうか。つまりは、人間の体が、本来そのようにできているということだろうと思います。

    syokujihoka.jpg

 よく、切りの際にはまず45度に構えるといいますが、そうではなく、人の体には個人差がありますから、自分なりに、自然に腕を構えてみて、その後、体の向きを自分に適した方向にする、ということが肝心だと思います。 その時の体と腕の関係が、結果的に、両手を体の前(=目の前)に集合させる、という形になるのだと思います。(切りにおける「体の構え」参照)

 さて、肩関節の部分は、骨格を上から見ると、下の図のような形になっています。
 赤い骨が上腕骨、青色の骨が肩甲骨です。
    uekara1.jpg
 特徴なのは、青色の肩甲骨が真横に(図では水平方向に)伸びているのではなく、最初から斜めになっている点です(青色の一点鎖線)。これが人体にとって自然な形であるということだと思われます。

 さらに、上腕を、体の前方に移動したときの状況を示したのが次の図です。
 肩甲骨は、さらに斜めになっています。
    uekara2.jpg
 これは、ご飯を食べる時など、体の前で(=目の前で)いろいろな作業をするときの形でして、この位置関係が、最も自然な無理のない状態であるといえると思います。


 したがって、切りの作業の際、冒頭の図の「包丁+腕」機構を自然に無理なく動作させるための、体の構え(のイメージ)は、下の図のようになるのではないかと思います。
    kamae.jpg

 セットアップの仕方としては、次のようになると思います。
 ①右手で「包丁+腕」機構を作ります。
 ②「麺帯+駒板」に包丁を合わせます。(これで、「包丁+腕」機構の位置が決まります。)
 ②体の正面(眼前)に切りの作業の現場(×印)をもってくるように、体の方向を決めます。


 (※包丁を持って、いざ切るぞという際に、切り板の方向と体の方向の関係をどうするかというのが大変気になるのですが、実は、それはあまり関係ないということだと思います。)


 なお、この体勢に加えて、脇を締めることが求められますが、それは、上腕を自然に下げることによって概ね達成できます。

 切る事だけに関心を集中させることなく、自然で無理のない体の使い方をするというのが大切ということのようですね。





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