包丁の動き(麺帯の土手の謎)

2012年02月29日 11:20

 前回、阿部孝雄氏の「切り」を分解写真にさせて頂いた結果、包丁が斜めに入っているということはなく、基本どおりの真っ直ぐであることが分かりました。
 斜めに切っているのではないかという疑問を抱いたのは、実際に、斜めになった土手が麺帯側に発生しており、これが、まるで切り跡のように見えるからでした。
 その辺のところを図解で整理してみました。

1.第①麺線をきり終わったところ
 下の図は、1本目の麺線を切り終わったところです。
  ab1.jpg

 包丁は、小間板の枕に沿って垂直に下ろされています。辺cd は、垂直です。
 細かいですが、包丁の刃に押されて麺線①が右に少し傾いています。
 実際は、この麺線は右に倒れます。


2.小間板を送るために包丁を傾けたところ
 下の図は、小間板を送るために包丁を傾けたところです。
  ab2.jpg

 辺cd が包丁で圧迫されて傾斜を発生させています。 
 その際の力は、赤色の矢印で示したとおりです。(力は上のほうが大きく、切り台に近づくにつれて小さくなっています。)
 この部分に生じているのは、圧迫による変形です。(麺帯には弾力がありますから、この後、この圧迫する力が無くなれば、元に戻ろうとします。)


3.包丁の引き上げの途中の様子
 小間板送りを終わり、次の切り下ろしのために、包丁は土手cd に沿って引き上げられます。
 (この土手部分は、前回、写真で観察したとおりです。)
  ab3.jpg

 実際の包丁の動きは、この図のように真っ直ぐではなく、小間板の枕に沿わせようとする動きに伴って、若干カーブを描いています。(次図参照)
 従って、おそらく、c付近はめくれあがったような状況になっています。(前回の写真にもそれらしい様子が見えます。)c付近全体が膨れ上がったような感じかもしれません。


4.包丁がほぼ引き上げられたところ
 下の図は、包丁がほぼ引き上げられたところです。
  ab4.jpg

 包丁は、引き上げられながら小間板の枕に沿って垂直になっています。
 つまり、この時点で既に、次の切り下ろしのための準備が行われているわけです。
 また、「2.」で記しました圧迫する力がなくなっていますから、図の赤色の矢印のような、元に戻ろうとする力が現れています。(ただし、この時点で元に戻りきるのではなく、次の「5.」の過程で元に戻るようです。)
 

5.2本目の麺線を切り始めたところ
 下の図は、2本目の麺線が切り始められた様子です。
  ab5.jpg

 c付近は、恐らく、めくれ上がったようになっていますから、上の図のように真上から押されることで、元の形(垂直の面)に戻るものと思われます。また、前の図「4.」で描いた、元に戻ろうとする赤い矢印の力が、これを助長するのかもしれません。(この辺の解明は不十分です。)
 

6.2本目の麺線を切り終わったところ
 下の図は、2本目の麺線②をきり終わったところです。
 あとは、振り出しに戻って、繰り返しになります。
  ab6.jpg



 これを書きながら思ったのですが、「2.」で、cd 部分が斜めに変形することを、「圧縮」だけで説明していますが、c 付近の上面に向かっての「盛り上がり」という変形が大きな要素かもしれません。
 つまり、包丁で圧迫されることにより、麺帯の一部(cd 付近)が圧縮されて変形するほか、c 付近が盛り上がるという変形も行われます。そして、さらには、包丁がこの部分を擦り上げるようにして移動しますから、「盛り上がり」が助長されます。
 従って、次の工程で包丁が下がることで、その盛り上がりを上から押さえることになりますので、元の形に復帰するわけです。
 この辺、写真からは顕著に観察できませんが、こちらのほうが合っているような気がします。(気が向いたら、その説明図を作って見たいと思います。)

 ま、屁理屈はこのくらいにして、私の場合、もっと実技の練磨に励まねばいけません。

 


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