見えない角を出す- (角だしについて)

2012年01月20日 16:48

 角だしはまさに隔靴掻痒、隠された部分を想像しながら作業をしなければなりません。
 毎日作業をするプロならば、その勘所は自ずと修得されていくのでしょうが、我々の場合はそうは行きません。
 そういう「角だし」ですから、特に、理屈を基にして作業を管制することが必要だと思います。
 以下、角だしの屁理屈について考えてみました。


 下の図は角だしの作業を模式化したものです。
 図は、全体が断面図になっています。
tuno-1.jpg
 打ち台の上に、麺棒に巻かれた麺生地が置かれています。(麺生地は、正確には渦巻き状に巻かれているのですが、細部を省略しています。)
 上に手が添えられており、矢印の方向に動かされます。


 では、角がどのように作られるかについて見てみます。
 下の図は、力の掛かり方を示したものです。
 tuno-2.jpg
 手の指先(H1)によって斜め下方に向けてAという力が加えられております。
 打ち台が、麺生地の下にありますから、麺生地に対しては、同じ力A’ が、このあたりに加わわります。


 この時、麺生地のどこにどのような力が掛かり、麺生地がどのように変形するかを考えていきます。
 考えやすくするために麺生地を上下二つに分けて考えてみます。まず、下半分です。
 tuno-3.jpg
 下半分の麺生地を見ますと、麺棒によってA’ という力が、加えられます。
 麺棒は図の左側に向けて転がされますから、麺棒がこの力によって麺生地をなめるようにして押し下げて行くわけです。


 更に解かりやすくするために、この麺生地を広げた形で表示すると次の図のようになります。
tuno-4.jpg
 麺棒が、図の左側に向けて、力A’ を加えつつ転がりますから、B’ の力でこの部分が加圧され薄くなります。すると当然ながら、麺生地はC’ 方向へ延びていきます。(なんのことはない、「普通の」延しです。)
 麺生地は、まず麺棒による真下への力によって、その箇所でいわば動きがブロックされ、その後に、左側に向けてB’ という力で加圧されていきますから、C’ 方向に延びるしかないからです。
 しかし、現実には、麺生地は図の右側方向(C’ と反対方向)にも若干延びます。力Aが加わえられた際に、麺生地の右側の箇所も押され、延びるからです。(※以下は、この分を措いておいて説明を続けます。)


 次の図は、麺生地の上半分の状況です。
tuno-5.jpg
 上に述べたことの裏返しで、同じことが発生します。


 同じく、麺生地を広げた説明図です。
tuno-6.jpg
 少し、説明を加えますと次のようになります。
 手でAという力を加えながら、図の左方向へ移動させますと、麺生地は、逐次Bという力で加圧されることになり、従って、麺生地はCの方向へ延びます。


 以上を一つにした説明が次の図です。
 図では、手がH1からH2に移動(つまり、手による1行程分の転がし)が終った状態です。(図では、麺棒が約45°回転しています。)
tuno-7.jpg
 B、B’ で加圧された部分が薄くなり、その分で、C、C’ に延びますから、それが、D、D’ へ向けた「たるみ」となって現れます。


 下の図は、これまでの説明図を、少し実際的にした図です。
tuno-8.jpg
 力Aは、左の図のようなイメージで麺生地の上半分と下半分に加わります。
 麺生地は薄くされ延ばされることになりますが、その際b、b’点でブロックされたような形になりますから、c、c’方向へ延びます。(前述したように、実際は破線の方向にも若干の延びがあります。)


 これまでは、断面図で見てきましたが、これを平面的に見ると次のようになります。
 この図は、手で(前の図のH1からH2)一行程分を転がしたあと、麺生地を広げた状態です。
tuna-10.jpg
 手で一行程、転がした際、麺棒の下側に来る部分がcだけ延びて、それがeのような角として出された状況を示しています。
 (この図のもうひとつのポイントは、cの部分が三角形になっている点です。中心線付近をしっかり加圧すると、尖った角になります。)

 実際には、手の下に当たる部分もc’ だけ延びますから、次のような状況になります。
tuna-11.jpg
 

 更に、ですが、実際には、麺生地は巻かれていますから、概ね麺棒の円周に相当する間隔で、上の状況が現れます。
 tuno-13.jpg

 更に、更に、図に表していませんが、何行程(通常3回位?)かコロコロと延しますから、CとC’の部分が連続的に現れます。

 更に、更に、更に、ですが、このコロコロを何回かやって、手が伸びきったら手前に引き戻して更にコロコロ延しをしますから、CとC’ がどんどん重畳されていくわけです。

 上の説明では、eの反対側(図の下側)に角が出ていません。しかし、実際には、eの反対側にも角がでます。これは、途中で説明しましたように、Cと同時に反対側にも延びが発生するからです。

 この反対側への動きを意図的に行うと、(つまり、巻いた麺生地を前方向だけに押すのではなく、前後に揺するような押し方にすると、)手前に押すような力によって、上の図に示したeの反対側が強く出る、ということになるのだと思います。


 さて、長くなりましたが、最後に、標題に示しました、「見えない角を出す」ということについてです。

 以上説明しましたように、「見えない角を出す」には「見えない部分も(Cのように)角を出すように操作しなければならない」ということです。具体的には、中心線付近を良ーく延す、ということです。
 これをそうせずに、漫然と、全体的な押し方をすると角がないCが作られて、極端には下の図(e)のような丸出しになってしまいます
tuna-9.jpg

 また、揺するような押し方を上手に行なえば、上で長々と説明したような効果が手前側にも作用するわけですから、一度に前後の角だしができるということに繋がると思います。



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