2020年12月03日 12:03
「同割り」と言うのは蕎麦粉と割粉の比率が5:5のことです。
柏の「竹やぶ」の当主阿部孝雄さんの本(下の写真)で、この言葉を初めて知りました。
著者は、「五割、いいんじゃない!?」 と、おっしゃっています。
通常は、二八と称して8:2で打つのが最もポピュラーなのですが、上手になってくると、外二(そとに)だとか、九一(くいち)とか割粉の割合を下げて行き、ついには生粉(きこ(10割))を打って、腕自慢をする風潮があります。もちろん、だんだんと技術的に難しくなるので、そのことは腕自慢をするに値する訳なのですが、「お味の好み」という観点に立つと、別問題になります。10割よりも二八の方がおいしく感じるという人だっている訳です。
また、人に差し上げる場合、たいていの場合、相手はマニアックな嗜好を持たないごく普通の方々ですから、茹であがりの姿が長くてきれいで、口にいれた後の食感等が、どちらかというと重要になります。
私も、人に差し上げる分について、割粉の割合を減らして、いわば高級感を持たせていたのですが、茹でがうまくいかなくて短い蕎麦になっていたら、もう蕎麦ではなくなるわけですから、肩書の高級感なんて意味がありません。
そこに、この本。
最近は、基本二八ですが、少しづつ割粉の比率を高めています。
実感として、やや細めにで切りそろえ率が高いと、まずい等ということは全くありません。
考えてみれば、うどんやそうめん、美味しいです。どこまで増やしてよいか、面白い問題です。
以下、阿部さんの著書から該当部分の抜書きです。(70-71p)
年越しそばのおみやげを始めて三十年になります。
以前は店と同じような、そば粉100%の生そばを出していました。しかしいまは、そば粉五割、うどん粉五制にしています。なぜか。
生そばのおみやげは、苦情ばかりだったのです。いわく、
「切れる」「ゆでると短くなる、 だんごになる」 「一日置いたら腐った」などなど。
生そばの扱い方はむずかしい。生そばは常温で置いておくと 夏場なら四~五時間ですっ ばくなってきます。
それで二八そばにしました。そば粉が八割、うどん粉二割です。ところが、それでも苦情が絶えません。こうして現在のようになったわけです。そば粉が五割というのは、だいたいふつうの町中のそば店の割合と同じです。
同割の五五そばにしてからは、ご家庭に持ちかえって二~三日置いてもだいじょうぶです。しかも切れないし、味も香りもあってうまいと、なかなか好評でした。
同割でもうまい? しかし本当なのです。 そこでまた 「なぜ?」と考えます。
(原材料と石臼と手打ちのせいかなあ。 それなら、 店でも出せるかも‥)
そうやって考えていると、いつか店でも良いそば粉を使って 「生そば」 「二八そば」「同割」という品書きでやってみたい気持ちもわいてきます。それぞれの最も、少しずつふやして。いつか年越しの日は休みにしたいと思うようになってきました。 囲りには神社もありませんし…。(引用終わり)
※ちなみに、比率何割まで「そば」といえるか、法的には以下のようになっているそうです。(ネットからの引用です)
・生めん
生めんについては、不当景品類及び不当表示防止法に基づく「生めん類の表示に関する公正競争規約」が定められており、その中で「そば粉30%以上」の製品について「そば」との表示が認められています。
・干しそば
干しそばについては、日本農林規格(JAS)法に基づく「乾めん類の品質表示基準」にそば粉の配合割合による名称の使用の可否について、特段の規定は設けられていません。つまり、乾めん含量の95%が小麦粉で、たった5%のそば粉しか使われていなかったとしても、その製品を「そば」と呼んでも問題ないという規格です。蕎麦は”ざるそば”で頂くことが多いだけに、JAS法は”ざる法”だったというわけです。
しかし、ごく最近(平成21年4月9日)、この「乾めんの表示」に関してのJAS法が改正されました*2。以下、関係するところを抜粋します。
(義務表示事項)
第3条第2項
干しそばにあっては、製造業者等がその容器又は包装に表示すべき事項は、加工食品品質表示基準第3条第1項及び第6項並びに前項に規定するもののほか、そば粉の配合割合とする。ただし、そば粉の配合割合が30%以上である場合は、この限りでない。
(表示の方法)
第4条
名称、原材料名、そば粉の配合割合及び内容量の表示に際しては、製造業者等は、次の各号に規定するところによらなければならない。
(3) そば粉の配合割合
実配合割合を上回らない数値により「2割」、「20%」等と記載すること。ただし、そば粉の配合割合が10%未満のものにあっては、「1割未満」、「10%未満」等と記載すること。
改正点を分かりやすくいうと、干しそばは「そば粉の配合割合が30%未満であれば、必ずその配合割合を書きなさい。そば粉が30%以上あれば、配合割合は書いても書かなくてもよい」ということでしょう。
結局、そば粉含有量が10%未満の製品であっても、そば粉を使っていれば、それは「そば」といってもいいということのようです(ただし、そば粉の配合表示は義務)。また、そば粉含有量が30%以上あれば、その配合割合の表示はしなくてもよく、改定後も、実質ほとんど変わらないといっていいでしょう。
柏の「竹やぶ」の当主阿部孝雄さんの本(下の写真)で、この言葉を初めて知りました。
著者は、「五割、いいんじゃない!?」 と、おっしゃっています。
通常は、二八と称して8:2で打つのが最もポピュラーなのですが、上手になってくると、外二(そとに)だとか、九一(くいち)とか割粉の割合を下げて行き、ついには生粉(きこ(10割))を打って、腕自慢をする風潮があります。もちろん、だんだんと技術的に難しくなるので、そのことは腕自慢をするに値する訳なのですが、「お味の好み」という観点に立つと、別問題になります。10割よりも二八の方がおいしく感じるという人だっている訳です。
また、人に差し上げる場合、たいていの場合、相手はマニアックな嗜好を持たないごく普通の方々ですから、茹であがりの姿が長くてきれいで、口にいれた後の食感等が、どちらかというと重要になります。
私も、人に差し上げる分について、割粉の割合を減らして、いわば高級感を持たせていたのですが、茹でがうまくいかなくて短い蕎麦になっていたら、もう蕎麦ではなくなるわけですから、肩書の高級感なんて意味がありません。
そこに、この本。
最近は、基本二八ですが、少しづつ割粉の比率を高めています。
実感として、やや細めにで切りそろえ率が高いと、まずい等ということは全くありません。
考えてみれば、うどんやそうめん、美味しいです。どこまで増やしてよいか、面白い問題です。
以下、阿部さんの著書から該当部分の抜書きです。(70-71p)
年越しそばのおみやげを始めて三十年になります。
以前は店と同じような、そば粉100%の生そばを出していました。しかしいまは、そば粉五割、うどん粉五制にしています。なぜか。
生そばのおみやげは、苦情ばかりだったのです。いわく、
「切れる」「ゆでると短くなる、 だんごになる」 「一日置いたら腐った」などなど。
生そばの扱い方はむずかしい。生そばは常温で置いておくと 夏場なら四~五時間ですっ ばくなってきます。
それで二八そばにしました。そば粉が八割、うどん粉二割です。ところが、それでも苦情が絶えません。こうして現在のようになったわけです。そば粉が五割というのは、だいたいふつうの町中のそば店の割合と同じです。
同割の五五そばにしてからは、ご家庭に持ちかえって二~三日置いてもだいじょうぶです。しかも切れないし、味も香りもあってうまいと、なかなか好評でした。
同割でもうまい? しかし本当なのです。 そこでまた 「なぜ?」と考えます。
(原材料と石臼と手打ちのせいかなあ。 それなら、 店でも出せるかも‥)
そうやって考えていると、いつか店でも良いそば粉を使って 「生そば」 「二八そば」「同割」という品書きでやってみたい気持ちもわいてきます。それぞれの最も、少しずつふやして。いつか年越しの日は休みにしたいと思うようになってきました。 囲りには神社もありませんし…。(引用終わり)
※ちなみに、比率何割まで「そば」といえるか、法的には以下のようになっているそうです。(ネットからの引用です)
・生めん
生めんについては、不当景品類及び不当表示防止法に基づく「生めん類の表示に関する公正競争規約」が定められており、その中で「そば粉30%以上」の製品について「そば」との表示が認められています。
・干しそば
干しそばについては、日本農林規格(JAS)法に基づく「乾めん類の品質表示基準」にそば粉の配合割合による名称の使用の可否について、特段の規定は設けられていません。つまり、乾めん含量の95%が小麦粉で、たった5%のそば粉しか使われていなかったとしても、その製品を「そば」と呼んでも問題ないという規格です。蕎麦は”ざるそば”で頂くことが多いだけに、JAS法は”ざる法”だったというわけです。
しかし、ごく最近(平成21年4月9日)、この「乾めんの表示」に関してのJAS法が改正されました*2。以下、関係するところを抜粋します。
(義務表示事項)
第3条第2項
干しそばにあっては、製造業者等がその容器又は包装に表示すべき事項は、加工食品品質表示基準第3条第1項及び第6項並びに前項に規定するもののほか、そば粉の配合割合とする。ただし、そば粉の配合割合が30%以上である場合は、この限りでない。
(表示の方法)
第4条
名称、原材料名、そば粉の配合割合及び内容量の表示に際しては、製造業者等は、次の各号に規定するところによらなければならない。
(3) そば粉の配合割合
実配合割合を上回らない数値により「2割」、「20%」等と記載すること。ただし、そば粉の配合割合が10%未満のものにあっては、「1割未満」、「10%未満」等と記載すること。
改正点を分かりやすくいうと、干しそばは「そば粉の配合割合が30%未満であれば、必ずその配合割合を書きなさい。そば粉が30%以上あれば、配合割合は書いても書かなくてもよい」ということでしょう。
結局、そば粉含有量が10%未満の製品であっても、そば粉を使っていれば、それは「そば」といってもいいということのようです(ただし、そば粉の配合表示は義務)。また、そば粉含有量が30%以上あれば、その配合割合の表示はしなくてもよく、改定後も、実質ほとんど変わらないといっていいでしょう。
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